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愛知ニュース

一票に思いさまざま 「抗議」で白票の人も

投開票日があす14日に迫った衆院選を告知するのぼり。有権者は一票にどんな思いを込めるのか=蟹江町役場前で

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 師走の総選挙はあす十四日、投開票日を迎える。候補者たちが慌ただしく訴えに駆け回る一方、有権者側からは「政策の中身が分からない」「選挙自体の意味があるのか」などの声も漏れる。期日前投票を済ませた人や、あえて白票を投じたり、棄権しようとしたりしている人に話を聞いた。

■投票者

 「急な衆院選で本当に迷惑。年金制度が気になるけど、どの候補もいまいちなので、取りあえずは地元によく来る候補に入れた」。一宮市の無職男性(75)は期日前投票を終えて話した。その後、期日前投票に来た女性会社員(43)も「政策が分からないまま来てしまった」。突然の選挙への戸惑いの声を上げた。

 「国民の信を問う」と安倍晋三首相が衆院選の大義名分としたアベノミクス。市内の中小企業役員の男性(70)は投票を終えて「動向には注目してるが、株価は上がっても、うちの賃金は上がってないし人手不足も深刻なままだ」。四十代という介護士の女性は「大企業ばかり潤って中小企業がもうからないと訴える候補に共感した。地元の状況を国政に伝えてもらいたい」と話した。

 選挙権を手にしたばかりで今回が初めての投票という大学二年石川恵理さん(20)は「マニフェストを見ると、若い世代よりも年配の世代が重視されている気がする」と前置きした上で「だからこそ、若者が意見を持って選ばないと」と続けた。

 一方、あえて白票を投じることを決めている人もいる。一宮市浅井町尾関の自営業男性(57)は「地元で働く若者が少なく深刻なのに、地域経済の起爆剤になりそうなことを公約に掲げる人が誰もいない」と理由を明かす。

 「働く世代は忙しく、政策をじっくり吟味する時間がなかなかとれないのに、どの候補もネットなどを駆使して自らの政策を広く発信しようとはしていない気がして、若年層を軽視している」と指摘するのは同市奥町の飲食店経営の男性(43)。「抗議の意味」から白票を入れることに決めたと話す。

■棄権 

 二年前の前回と同じく師走の衆院選となった今回、期日前投票者数は前回よりも増えている。が、有している投票の権利を放棄しようと考えている人もいる。

 「投票しても結果は変わらないと思うので、わざわざ行かない」とは、一宮市木曽川町玉ノ井の建築会社社員の男性(24)。「消費税増税前の駆け込み需要など、安倍政権には振り回されっ放しなのに何も恩恵を受けていない」と理由を語った。

 もともと自民党の支持者という同市木曽川町黒田の農業男性(64)は「選挙は突然すぎて、意味があるのかどうか」と衆院選自体に懐疑的。「地元の農業振興が必要だが、どの候補者の個人演説会も市の中心部ばかりで開かれるし、これでは期待できなそう」と、投票は控えるつもりだ。

 長年日本に暮らしていても、日本国籍がない外国人は投票できない。西尾張地域で人口が最も多い一宮市の場合、成人の外国人登録者数は一日現在で四千四百十六人と有権者全体の1・4%を占める。

 「投票は自分の生活環境をよくするためのもの。棄権はもったいない」と言うのは、七年前に来日し、名古屋市内で通訳として働いている一宮市北方町の中国人女性(29)。

 大口町の韓国籍の在日二世男性(69)は投票権を得ようと、二十年ほど前に三度、日本国籍を取得する手続きをしたものの、かなわずに断念したという。「棄権すれば与党の狙い通り。このまま給料が変わらずに物価だけが上がる暮らしでいいのか」と指摘し、こう続けた。「選挙の結果は見えているかもしれないが、日本の若い人には未来を考えて投票に行ってほしい」

(衆院選取材班)