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愛知ニュース

14区候補者に密着

 十四日投開票される衆院選。14区に出馬した民主前職の鈴木克昌さん(71)、共産新人の袴田富治さん(62)、自民前職の今枝宗一郎さん(30)に、記者が密着した。

 (上から届け出順)

◆未明の漁港、支持訴え 鈴木克昌さん(71)民前

 外はまだ真っ暗だ。午前三時半の知柄(ちがら)漁港(蒲郡市)。「以前に比べて魚が取れなくなった」。水揚げされた魚の競りを見ながら、鈴木さんは言った。

 地元に密着した政治家として、漁港にも長年、足を運ぶ。見慣れた漁師や仲買人たちに訴える。

 「二度と放射線物質による海洋汚染をさせないため、原発を止める。浚渫(しゅんせつ)した土砂を利用して海浜を再生し、赤潮や苦潮を防ぐ。私は皆さんの生活と消費者の安全を守る」

 他の漁港も回り、日が昇る前に自宅へ戻る。妻壹子さん(67)の手料理で朝食。「昼や夕食は不規則だから」と野菜中心の献立だ。

 午前七時すぎ、新城市内の工場前。降りしきる雨の中、出勤する人たちに「おはようございます」と声を掛け続ける。豊川市の砥鹿(とが)神社では、支援者らに笑顔で駆け寄り、握手。

 日大経済学部を卒業後、繊維会社に勤めた。県議だった父の後を引き継ぎ、政治家の道へ。県議、蒲郡市長を経て、二〇〇三年に衆院選初当選。当時所属した民主に今回、戻った。

 「どうしても野党再編はやり遂げなければならない。その信念は決してぶれていない。自民党が大勝すれば、戦争をする国へと暴走はさらに加速する。一強多弱の体制は本当に怖いことなんだ」

 長い一日の締めくくりは夜に新城、豊川で開いた総決起大会。「自民有利の風が吹いているというが、一人でも多くの人に選挙に行ってもらえれば、追いつき追い越せる」。イメージカラーの赤いジャンパー、鉢巻き姿の支援者へ声をからした。(坂口千夏)

◆日中スーパーで演説 袴田富治さん(62)共新

 薄暗い空から、雨が落ち始めた午前七時。JR豊川駅で、袴田さんは「おはようございます」と通勤客らにあいさつを続けた。

 支援者からは、今年の流行語大賞をモジって「消費増税 ダメよ〜ダメダメ」の掛け声。ダメなのは「原発再稼働」だったり、「環太平洋連携協定(TPP)」だったり。自民との対立軸を明確に打ち出す。

 午前八時半に街宣車で出発し、豊川市内の団地やスーパーへ。「アベノミクスは大企業に減税し、市民に消費増税を強いる。やり方が逆だ。まさに『アベコベミクス』」。演説にもすっかり慣れ、滑らかに言葉が出てくる。

 名古屋大農学部でミカン研究に励み、JA蒲郡市では販売部長などを歴任。

 「ミカン一筋四十年。農家とともに蒲郡のハウスミカンをつくり上げた。地域の農業を知る自分だから、できることがある」

 昼、選挙事務所に戻ると、机上には、おかずの山。支援者の手作りだ。「温かいみそ汁は最高」と、箸が進む。主に調理を担当した深井洋子さん(69)が「搾りたての自家製生みかんジュースもあるよ」

 パート勤めの妻恭子さん(59)も、はがきの宛名書きなどを手伝う。十二、十三日は休暇を取って、心強い援軍となる。

 午後一時半。再び街頭に繰り出すころには、雨はほぼやんだ。この日は結局計二十カ所を回った。

 夜は、蒲郡市内の党の事務所に移動し、知り合いの農家らに電話をかけて投票を呼び掛け続けた。「これで何百票か、取れれば大きいよ」。休む暇はない。(那須政治)

◆夜の集会、出迎え握手 今枝宗一郎さん(30)自前

 正午、豊川市総合体育館前に今枝さんの街宣車が止まった。イメージカラーの青いのぼり旗を背に、近くを通る車や買い物客らに笑顔で手を振る。

 「この地域の赤ちゃんと母親の命を守るかどうかの選挙。妊娠、出産しやすい環境を整えていく。前に進む地元、前に進む日本をつくりましょう」

 豊川や蒲郡市内をはじめ、早朝から二十カ所を回り、夜も個人演説会をこなす日々だ。

 名古屋大医学部を卒業後、内科医として、新城市の夜間休日診療所などで診療に当たった。地域医療の現場を知って政治の道を志し、二年前、二十八歳の若さで初当選した。

 「東三河の女性と結婚する」。自身に課した公約は見事に実現。当選後に交際を始めた朋恵さん(34)と先月下旬に挙式した。ただ、突然の総選挙で、「新婚旅行も全くの白紙」だ。

 夜、新城市内で総決起大会。開始一時間ほど前から、会館出入り口で来場者を待ち構え、一人一人と握手を交わす。「寒い中ありがとうございます。頑張ります」。隣で朋恵さんも一人一人に頭を下げた。

 「自民優位」が伝えられるが、楽観的な雰囲気はない。「マスコミが言う状況ではない。本当に厳しい」と訴える。

 アベノミクス路線を地方に浸透させるローカルアベノミクスの実現、産婦人科医の充実に加え、最近は観光面を強調する。「海外からの観光客の1%を呼び込めば、人口が三、四万人増えたのと同じだけの経済効果がある。奥三河が守ってきた美しい山や森は必ず人の心を癒やす。もっと誇りましょう」(久間木聡)