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愛知ニュース

終盤の訴え、密着ルポ 15区

 14日投開票される衆院選は、終盤戦。15区に立候補した自民前職の根本幸典さん(49)、共産新人の串田真吾さん(38)、民主新人の関健一郎さん(36)、3人に、記者が密着した。(上から届け出順)

◆企業の朝礼、老人会回る 根本幸典さん(49)自前

 「おはようございます」。腰を直角に折り曲げ、マイクは使わずサラリーマンにひと言だけ伝える。午前六時半の豊橋駅前。根本さんの一日が始まった。

 午前七時から、企業の朝礼に出席した後、自身が幼少期を過ごした豊橋市杉山町で、五つの老人会をはしご。「昔から知っている人が多く、ファンクラブみたいで心強い」

 選挙期間中、昼食はすべてコンビニ弁当。「時間がもったいないから」と、移動中の車内で平らげる。この日はスパゲティを三分で完食。田原市中心部に向かった。

 街頭演説では、党農林副部会長としての経験を語った。「部会には北海道、東北、九州などさまざまな地域の議員がいる。でも、この地域の露地栽培や最先端の施設園芸農業を理解し、政策提言できるのは私だけだ」。壇上を降りると、高齢の女性に駆け寄って握手を求めた。

 一橋大経済学部を卒業し、民間企業に勤務した。この地域でも関心が高い環太平洋連携協定(TPP)。「競争力強化のため、反対ではないが、重要なのは国益にかなうかどうか」

 演説を終え、午後二時から企業回り。豊橋市の鉄鋼メーカーでは、エネルギー政策や道路整備の重要性を語った。「国道23号を高速道路のインターチェンジに直結すれば、経済力は格段に上がる。必要な道路を造るんです」

 午後六時半から始まった田原市での総決起大会。初めて選挙に出馬した豊橋市議選で、ウグイス嬢を務めた縁で結ばれた妻圭子さん(44)の姿も。普段は別行動で支援者回りを重ねているが、そろいの柿色のセーターで壇上に立った。

 いつものフレーズであいさつを締めくくる。「地元の、地元の根本幸典をよろしくお願いします」

 (西田直晃)

◆午後の街宣、金髪姿人気 串田真吾さん(38)共新

 冬晴れの早朝。田原市豊島町の国道で、串田さんの一日は始まった。ドライバーらに手を振り続ける。「日本一を誇る田原の農業を守ります」。選挙カーからの演説もこなれてきた。

 刈谷市で両親と弟、おいの五人暮らし。「通勤」の時間がもったいないと、公示後は、豊橋市内のホテルに寝泊まりする。

 この日の朝食は、共産党田原市委員長の河辺正男さん(67)宅でごちそうに。河辺さんは「若い党員の旗振り役で、次代を担う指導者」と持ち上げる。

 演説は、一日に十五カ所ほど。手を振ってくれる人に「ありがとうございます」と声を掛け、握手を求めて回る。

 正午、田原市内の定食屋へ。「普段は事務所で弁当。揚げ物がメーンになりやすい」ので、この日は刺し身定食。

 名古屋学院大外国語学部を卒業し、自動車部品メーカーにパートで採用された。通訳を目指し、学費を稼ぐため、ファミリーレストランでバイトした。

 そのバイト先では、出勤時間を無理に早められたり、退勤時間を過ぎても在庫整理を押しつけられたり。それでも、タイムカードは名ばかりで、残業代は支払われなかった。

 その時の体験から、「同じように苦しむ若者を救いたい」。特に「ブラック企業」を敵視する。

 午後も引き続き街宣。若白髪を隠すために染めた金髪のせいか、若い層に妙に人気がある。キャベツ畑の真ん中で遭遇した小学生の中には、全力で選挙カーを追い掛けてくる子も。成章高校近くで女子高生は「串田さーん」と黄色い声。

 ウグイス嬢として、串田さんの名前を呼び続ける下奥奈歩さん(27)は「入党して日が浅い私を引っ張ってくれる。お兄さんのような存在で心強い」と話した。

 (小原健太)

◆夕方、企業門前で声掛け 関健一郎さん(36)民新

 「おはようございます。いってらっしゃい」。午前六時半から一時間。関さんは豊橋駅西口で通勤客に声を掛け続けた。「若い世代が頑張らないかん」。高齢の女性から激励を受ける。

 反対の東口では、妻基衣さん(35)が「本人の奥さん」のたすきを掛け、同じく、あいさつに立つ。人前は苦手だが、「だんだんふっ切れてきました」。

 高齢者の会合や、民主党県議が紹介してくれた企業への訪問を終え、市内街宣へ。午前中は量販店やスーパーなど八カ所を回り、街頭演説した。

 赤信号で選挙カーが止まるたび「時間が惜しい」とばかりに飛び降りる。盛んに周囲の車に手を振る。

 慶応大法学部を卒業し、NHK記者に。演説では「豊橋は記者としての出発点。十一年間いろんなところで修業して、戻ってきました」と声を上げる。「一番好きで子どもたちに誇れる場所。何があっても、豊橋で生き抜く」。長女(5つ)と長男(2つ)は選挙中、神奈川県の実家に預けている。

 アベノミクスは「第三の矢・成長戦略が問題。全国共通でなく、地域の個性を生かした規制緩和や戦略が必要」と批判する。

 昼食はコンビニも多いが、この日は、記者時代に世話になったうどん店で。陣営スタッフは「声を少し高めにするとのどを痛めない」「笑顔が良い。反応も良くなってる」とガラガラ声の関さんをねぎらう。

 午後二時半からは、基衣さんと大学の後輩らと六人で、自転車街宣に出発。街行く人に積極的に声を掛け、握手を求める。子どもにはピースサイン。

 夕方は企業の門前で「お疲れさまでした」のあいさつ。杉山町での個人演説会、街宣を終え、豊橋駅で再び通勤客に声掛け。知人宅への訪問など、夜になっても活動は終わらない。

 (小椋由紀子)