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愛知ニュース

<候補者の横顔>1区

 降って湧いた解散劇から、あっという間の衆院選。県内十五の小選挙区に立候補した五十三人は師走の慌ただしい中、各地を駆け回り、激しい舌戦となっている。アベノミクスは成功したのか、未完なのか、はたまた失敗なのか。二年間の安倍政権による経済政策への評価を軸に、社会保障、労働法制などを争点にして、さまざまな主張が展開されている。候補者の考え方、信条などを紹介する。

 (1)最も感動した映画(2)愛読書(3)尊敬する人(4)至福の時間や場所

 (上から届け出順)

◆リスクをとる起業家魂 広沢一郎さん(50)減新

 「これまでも積極的にリスクをとってきた。今回の出馬も、賭ける価値がある」。ソフトウエア会社の社長として県議に当選。今度は国政に挑む。

 二十五年前、ブラザー工業で時代に先駆けてコンピューターのソフト開発に携わり、一九九八年に起業した。今年は、好物のクッキー作りを習うために訪れたハワイで、人気店の経営者と意気投合。店の製品を日本で販売する契約を交わした。

 「政治は人間関係に多くの労力が必要。ビジネスはもっとドライで合理的」と苦笑いする。一見、無駄に感じる議論を延々と重ね、最後に双方が妥協点を見いだすのが政治の魅力だという。

 最近は体重が気になり、「マラソンはきつい。きっと、長続きしない」。だから時折、県庁から瑞穂区の自宅まで片道一時間半を歩く。まちの景色を眺めながら、ゆっくり足を進めるそうだ。

 (1)ローマの休日(2)山岡荘八「徳川家康」(3)河村たかし(4)自宅でのクッキー作り。自分で食べ、知人にも配っている

◆途上国の支援に使命感 身玉山宗三郎さん(41)次新

 小学生のころ、飢餓に苦しむアフリカの人たちを支援する日本人の姿をテレビで見た。「同じ年ごろの人たちを餓死させてはいけない」。使命感が芽生え、国際協力の道を志すようになった。

 千種高校を卒業した後、農場で研修を積んだ。青年海外協力隊でインドネシアに渡り、農村でメロン、唐辛子の栽培やトラクターの普及を支援した。

 「技術支援だけでは、農家の収入向上にはつながらない」。法律を学び、行政書士の資格も取得。今は神戸大大学院で途上国の法整備支援の研究に励む。政治家として、安全保障や外交分野の課題を解決したいという。

 インドネシアの人たちから教わったことは多い。「日本から学ぶべきことは学び、変革する瞬発力がある。苦しくても笑顔を忘れず、明るい」。趣味は登山。御嶽山や富士山をたびたび訪れる。

 (1)ゴースト ニューヨークの幻(2)松下幸之助「指導者の条件」(3)陸奥宗光(4)神戸市の北野異人館街にある古い洋館を使った喫茶店でのひととき

◆若者見守る元体育教員 平山良平さん(66)社新

 体育の教員として、名古屋市の市立中学に三十三年間勤務。校内暴力が社会問題化したときもあった。生徒が羽目を外した時でも、「成長の過程」と考え、温かく見守った。

 平和運動に取り組んでいることを知る生徒から、「りょうへい、へいわ!」とからかわれても、「ありがとね」と笑顔を返した。その場で叱らなくても、生徒は学年が上がるにつれ、自分の無礼に気付くものだという。「自分は一番優しい教員だった」と懐かしむ。

 一方で、教員時代から「ずっと、目の前にある不合理と戦ってきた」と自負する。学校内の禁煙化を訴え続けた。今、若い世代を大事にしない政治に憤りを感じているという。

 若者へのメッセージがある。おかしいと思うことがあれば「戦え。自分の手で戦ってくれ」。そんな若者が増えたら、この国は良くなると期待している。

 (1)水俣病−その20年(2)レイチェル・カーソン「沈黙の春」(3)徳川家康(4)市民運動用の横断幕やのぼり旗にペンキで標語を書くとき

◆政治一筋、庶民派を自認 熊田裕通さん(50)自前

 大学を出てから、政治一筋の人生を歩んできた。海部俊樹元首相の秘書を経て、生まれ育った西区で県議を五期務めた。「庶民革命」を唱える河村たかし市長に対し、「僕は雑草。市長に負けないくらい庶民的」と話す。

 地元の学童保育でバザーの運営を十五年間、手伝っている。会場にテントを張り、焼きそばも料理し、一緒に汗を流す。「現場で話を聞くことを貪欲にやってきた」。土日だけでなく、平日も名古屋に戻り、地域の行事に顔を出す。家族旅行や趣味の映画観賞の時間がなかなか取れない。

 「人は宝。国づくりの基本は教育」が信条だ。今年の父の日、大学三年の長男から、花束を初めて渡された。「こんな気遣いができるようになったのか、と驚き、うれしさが込み上げてきた」。集団意識を重んじる日本人の美学を次世代に伝えたいと願う。

 (1)ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ(2)司馬遼太郎「坂の上の雲」(3)旧米沢藩主・上杉鷹山(4)自宅で家族と一緒に過ごす

◆原書読むほどの凝り性 吉田統彦さん(40)民元

 小さいころから、国家に役立つ仕事をしたかった。救急車のたらい回しやお産難民が深刻化し「日本の医療制度が崩壊する」と危機感が募った。眼科医として研究していた米国の大学を辞し、政治家の道を選んだ。

 自分の性格を「凝り性」と評す。読書のジャンルは幅広く、専門家を交えて、中国の古典を原典で読む勉強会にも参加した。「収集癖もある」といい、子どものころは消しゴムなど、最近では万年筆や時計を集めた。

 旅行でも「風変わりな場所が好き」。大学時代にはモンゴルで馬を走らせた。在米中は、中米コスタリカに足を延ばし、溶岩が流れる火山を眺められる温泉にも入った。

 名古屋市で生まれ育った。好物の一つが地元名物のあんかけスパ。「実は細かく種類が分かれている。コンソメの薄味が好き」とこだわりを見せた。

 (1)ゴッドファーザー(2)塩野七生「ローマ人の物語」(3)カエサル(4)畳の上で寝転がるのが好き。気持ちが落ち着く

◆休日には家族に手料理 大野宙光さん(51)共新

 原子力について学ぶため、故郷の福岡県から名古屋大に進んだ。ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英さんらの恩師、故・坂田昌一博士に憧れたからだ。「自然科学の成果で人を不幸にしてはいけない」。在学中から反原発運動に関わった。

 研究者を目指したが、かなわず、旧安田火災海上保険に入社。そこで任された仕事が、社内にある人形劇場の運営だった。劇の上演だけでなく、脚本コンクールなども企画。「地元の芸術文化をおもしろくする仕事ができた」と振り返る。

 三十代で会社を辞め、初めて選挙に出た時、給料は半減した。妻は「若い世代が政治を変えることが大事」と応援してくれた。「大切なパートナー」と、今でも感謝する。

 休日は家族に手料理を振る舞う。「娘からは『ラザニアがおいしい』と褒められる」と顔をほころばせた。

 (1)カサブランカ(2)「羊をめぐる冒険」など村上春樹の著書(3)坂田昌一(4)自宅でビールを飲みながら、自分でつくった夕食を食べる