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愛知ニュース

自民が優位な戦い 小選挙区情勢、民主や第三極苦戦

 中日新聞社が公示直後に実施した情勢調査や、これまでの取材を総合すると、県内では自民が優位な戦いを進めている。小選挙区では六割の有権者が態度を決めていないが、自民は現時点で十五小選挙区のうち十一小選挙区で先行している。比例の投票先も31・6%が自民で、18・2%の民主をリードしている。維新や次世代、減税といった第三極や共産は小選挙区で苦戦している。 (衆院選取材班)

 自民は尾張の6、9、10区、三河の14、15区で他を大きく引き離している。名古屋市内では、河村たかし市長が民主の衆院議員時代に地盤としていた1区でさえ安定した戦いを繰り広げている。

 民主は2区と11区で前職が優位に立ち、前回自民に小選挙区の議席を明け渡した5区や13区でも奪還が現実味を帯びている。

 維新は、民主との選挙協力で候補を一本化した12区も含め、自民に迫るような存在にはなり得ていない。全十五区に候補を立てた共産のほか減税、次世代も全体的に伸び悩んでいる。

 比例投票先は三番手が維新7・7%で、公明6・1%、共産5・2%と続く。

 小選挙区、比例ともに民主をはじめ他の野党政党が、自民をおびやかすほどの勢いは今のところ見られない。衆院選の争点の一つとなっている「アベノミクス」の評価について、多くの人が、良しあしを判断するほどの変化を実感していないことが、野党勢力の低調につながっている可能性がある。

◆熊田が安定、吉田が追走 1区(名古屋市東・北・西・中区)

広沢 一郎50 減新

身玉山宗三郎41 次新

平山 良平66 社新

熊田 裕通50 自前(1)

吉田 統彦40 民元(1)

大野 宙光51 共新

 熊田が安定した戦い。吉田が追い、広沢、大野が続く。平山、身玉山は厳しい。

 県議を五期務めた熊田は知名度に加え、企業や各種団体をつぶさに回り、支持を拡大。すべての年代で優位に立つ。

 吉田はスーパー前の演説などで社会保障の充実を訴え続け、主婦の支持は熊田を上回る。民主支持層が他候補にも流れ、伸び悩む。

 広沢は公明支持層に食い込むが、民主や自民の支持層を切り崩せていない。大野は六十代以上や無職には支持を広げている。平山は高齢世代、身玉山は若年層から一定の支持を集めている。

◆古川、他候補に水あける 2区(名古屋市千種・守山・名東区)

東郷 哲也43 自<前>(1)

古川 元久49 民前(6)

黒田 二郎66 共新

 古川が他の候補者に水をあけている。東郷が追いかけ、黒田は独自の戦いをしている。

 古川は民主支持をほぼ固めた。維新支持の八割にも食い込む。一部自民支持にも浸透。サラリーマンや主婦、高齢者の幅広い年代から支持を集めている。

 経済政策を重視する人から多くの支持を集めている東郷は、自民支持の六割、公明支持の七割をまとめた。しかし、そのほかの党の支持層には食い込めておらず、支持政党がない層への広がりも課題だ。

 黒田は、党支持者以外や若い年代を中心に支持が広がっておらず、厳しい。

◆池田やや優位、追う近藤 3区(名古屋市昭和・緑・天白区)

増田 成美41 減新

石川  寿49 共新

池田 佳隆48 自前(1)

近藤 昭一56 民<前>(6)

井桁  亮45 次新

 池田がやや優位で近藤が後を追う。

 池田は自民、公明両党支持層の七割を固め、無党派層の三割からも支持を受ける。世代別では二十〜三十代の五割、四十〜五十代の四割と、若い世代から支持されている。

 近藤は民主支持層の九割を固め無党派層の三割からも支持を受ける。世代別では六十代以上の四割を押さえたが四十〜五十代、二十〜三十代はともに三割ほどにとどまる。

 四度目の挑戦の石川、河村たかし名古屋市長が応援する増田は大きく水をあけられている。井桁は出馬表明が遅く、これから選挙区内へ浸透をはかる。

◆工藤先行、牧、刀禰続く 4区(名古屋市瑞穂・熱田・港・南区)

牧  義夫56 維元(4)

工藤 彰三50 自前(1)

高橋 祐介36 共新

刀禰 勝之44 民新

 やや先行する工藤を、牧と刀禰が追う。

 工藤は自民支持層の六割を固め、各年齢層に偏りなく浸透。生活へのアベノミクス効果を実感する人々からも広く支持を集める。

 牧は維新支持層の七割近くを固め、二〇一二年まで籍を置いていた民主のほか公明支持層にも食い込む。

 刀禰は民主支持層の半分程度を固め、特定秘密保護法や原発政策を重視する層から支持を集めている。

 高橋は共産支持層の七割を固め、アベノミクスによる生活悪化を訴える層に浸透するが、他党支持層や無党派層に広がっていない。

◆赤松、40代以上で安定 5区(名古屋市中村・中川区、清須・北名古屋市、西春日井郡)

藤井 博樹37 共新

赤松 広隆66 民<前>(8)

神田 憲次51 自前(1)

安田 庄一47 次新

 赤松がやや優位に戦いを進める。民主支持層の九割近くをまとめ、自民支持層の一部にも浸透している。四十代以上では特に安定した支持を受ける。

 追いかける神田は、自民と公明支持層の大半を固め、二、三十代の支持で赤松を上回る。無党派層の支持が比較的弱く、知名度アップが今後のカギとなる。

 藤井は共産支持層から無党派層の一部にも支持を広げているが、高齢者層の支持が伸びず、全体として厳しい戦い。

 出馬表明の遅れた安田は支持の広がりに欠け、苦しい序盤戦となっている。

◆丹羽、幅広い年代に浸透 6区(春日井・犬山・小牧市)

柳沢けさ美64 共新

丹羽 秀樹41 自前(3)

森本 和義48 民元(1)

 丹羽が安定した戦い。自民支持層の九割と公明支持層の八割以上をまとめた。民主支持層の四割強にも食い込む。幅広い年齢層からの支持を集め、経済政策を重視する市民からの支持が多い。

 森本は民主支持層の五割を固め、約八割の維新支持層も取り込んでいる。特に四十、五十代男性からの支持が比較的多い。原発政策に関心のある市民が支持している。

 柳沢は共産支持層を中心に固めるが、全体に広まっておらず厳しい戦い。他への浸透が課題だ。六十、七十代の高齢世代が支持。アベノミクスへの批判票を取り込んでいる。

◆鈴木、山尾をややリード 7区(瀬戸・大府・尾張旭・豊明・日進・長久手市、愛知郡)

鈴木 淳司56 自前(3)

山尾志桜里40 民元(1)

郷右近 修36 共新

 鈴木が山尾をややリードし、先行する二人を郷右近が追う展開になっている。

 鈴木は地元保守系議員らと組織的に活動し、自民支持層の九割近くを固めた。男女ともに偏りなく浸透し、二十、三十代の若い層からの支持率が高い。

 山尾は民主支持層の九割をまとめ、主婦や四十代以上からは鈴木を上回る支持を集めている。街頭活動で無党派層への食い込みを図り、懸命に追い上げる。

 郷右近は共産のほか、維新支持層にも食い込んでいるが、その他の政党支持層には広がっておらず苦しい立ち上がり。

◆伊藤やや優勢、伴野追う 8区(半田・常滑・東海・知多市、知多郡)

伊藤 忠彦50 自前(2)

伴野  豊53 民元(4)

長友 忠弘55 共新

 伊藤がやや優勢で、伴野が追う。長友は引き離されている。

 伊藤は自民支持の九割以上、公明支持の八割近くを押さえている。年代別では、六十代以上で大きくリードし、二十、三十代でも優位に立つ。選挙に関心の高い有権者からの支持も厚い。

 伴野は、民主と維新支持の九割を固め、無党派層にも広がりをみせ六割近くをまとめている。高齢者への浸透には苦戦しているが、四十、五十代では、伊藤より優位に立っている。男性は伊藤が優勢、女性は伊藤と伴野が互角の状態。長友は共産支持以外での広がりがなく、苦しい展開。

◆長坂、自公の9割固める 9区(一宮市旧尾西市区域、津島・稲沢・愛西・弥富・あま市、海部郡)

長坂 康正57 自前(1)

岡本 充功43 民元(3)

渡辺  裕34 共新

 二期目を目指す長坂が安定した戦い。議席の奪還を狙う岡本が追い掛け、渡辺は苦戦している。

 長坂は、自民、公明の両支持層の九割ほどを固めた。男性やサラリーマン層の六割近くから支持を受けているほか、二十・三十代、四十・五十代、六十代以上のいずれからも半数以上の支持を集める。

 岡本は民主支持層の九割をまとめた。無党派層や維新支持層でも強みを見せている。主婦層にも比較的、浸透しているものの、若年層からの支持が弱めだ。

 渡辺は共産支持層以外への広がりがほとんど見られず、厳しい戦いになっている。

◆江崎が3候補突き放す 10区(旧尾西市区域以外の一宮市、江南・岩倉市、丹羽郡)

板倉 正文56 共新

江崎 鉄磨71 自前(5)

杉本 和巳54 無<前>(2)

小林 弘子75 民新

 江崎が他の三候補を大きく突き放している。江崎は自民支持層の八割を固め民主や維新の支持層も取り込む。二十、三十代を含む幅広い年代から圧倒的な支持を集めている。

 後を追う杉本は、無党派層の五割から支持を受ける。主婦層からの人気も高いが、四十代以上の支持が少なく、自民、民主の支持層に食い込めていない。

 小林は出馬表明が遅れたが、民主支持層の六割近くを固めている。六十代以上から支持を集めるが、二十、三十代で弱い。板倉は共産支持以外への広がりがなく、サラリーマンや主婦など若い世代を取り込めていない。

◆労組支援の古本が先行 11区(旧稲武町区域以外の豊田市、みよし市)

八木 哲也67 自<前>(1)

古本伸一郎49 民前(4)

牧田 充生60 共新

 トヨタ系労組の支援を受ける古本が先行し、八木が追う。

 古本は民主支持層の九割を固め、支持なし層にも七割近く浸透している。サラリーマンからは七割に迫る支持を集めている。

 地元の自民県議や市議が後押しする八木は、自民支持層の九割を固めた。年代別では六十代以上で半数を超える支持を集めるが、それ以外の年代で苦戦している。政権で連立を組む公明の支持層には半数しか浸透しておらず、古本と支持を二分している。

 牧田は共産支持層から半数を超える支持を集めるが、全体的な広がりがない。

◆青山優位、重徳追い掛け 12区(岡崎・西尾市、額田郡)

牧野 次郎56 共新

重徳 和彦43 維<前>(1)

青山 周平37 自前(1)

 青山が優位に戦いを進め、重徳が追い掛ける展開。牧野は水をあけられている。

 青山は自民支持層の八割を固め、支持なし層も六割を取り込む構え。公示直前に小選挙区での出馬を取りやめた民主の支持層の三割程度にも食い込む。年代別でも幅広く先行している。

 重徳は維新支持層をほぼ固め、民主支持層の六割強をまとめる。支持なし層も四割の確保をうかがうものの、女性への浸透が弱い。自民支持層も二割弱しか切り崩せていない。

 牧野は主婦や高齢者の間で一定の支持を受けるが、広がりを欠いている。

◆大西と大見が競り合う 13区(碧南・刈谷・安城・知立・高浜市)

宮地  勲60 共新

大西 健介43 民<前>(2)

大見  正56 自前(1)

 大西と大見が競り合う。大西は民主支持層の八割を固めた。サラリーマン中心に支持を広げ、二十、三十代の若い世代で大見をリードしている。

 大見は自民の九割近くを固め、公明支持層の八割を取り込む。選挙に強い関心がある層と退職した高齢者からの支持が根強い。

 宮地は共産支持層の六割を固めたが、全体的に苦戦している。

 社会保障や憲法への姿勢を重視する人は大西に、経済政策や地方活性化を重視する人は大見を支持する傾向がある。各候補とも無党派層には浸透しておらず、組織票の存在感が増している。

◆今枝、幅広い年代で支持 14区(豊川市、豊田市旧稲武町区域、蒲郡・新城市、北設楽郡)

鈴木 克昌71 民<前>(4)

袴田 富治62 共新

今枝宗一郎30 自前(1)

 今枝が安定した戦いで、鈴木、袴田が追う展開。

 今枝は自民、公明支持層を手堅くまとめた上、支持なし層にも食い込んでいる。男女ともに、幅広い年代からの支持を集めている。

 鈴木は、選挙直前の復党にもかかわらず、民主支持層から一定の支持を得ている。「原発政策」を重視する有権者にも支持が広がっている。

 全体に、アベノミクスで「生活が良くなった」と感じている層は今枝を、「悪くなった」と感じている層は鈴木を支持している。袴田は、共産支持層以外に浸透していない。

◆根本が大きく引き離す 15区(豊橋・田原市)

根本 幸典49 自前(1)

串田 真吾38 共新

関 健一郎36 民新

 根本が大きく引き離し、関、串田が続く。

 根本は自民支持層の九割近くをまとめ、「憲法観」や「地方活性化」の施策を重視する有権者の支持を集める。サラリーマンや自営業、農業・漁業者の各層にも浸透し、三十代から高齢者まで幅広い支持を受ける。

 関は民主支持層の八割近くを固めた。二十代で支持を伸ばしているが、アベノミクスへの批判票や、主婦層を取り込めていない。公示直前に出馬が決まった経緯もあって、支持政党を持たない層への広がりも欠く。

 串田は共産支持層の七割を固めたが、苦しい戦い。

        ◇

文中敬称略。候補者の<前>は前回比例での当選者。丸数字は当選回数。