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滋賀

人生経験通し国を見る シニア座談会

参院選の意義や争点を語り合う(左から)吉田徳夫さん、大橋英一さん、森川芳一さん、大橋基明さん=長浜市高月町雨森で

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 日本の行く末を決める参院選を前に、国を担ってきたシニア世代は何を思うのか。豊富な人生経験、知恵とアイデアで街づくりを展開する長浜市の「雨森まちづくり委員会」のメンバーに、参院選の意義や争点、日本のこれからについて語り合ってもらった。(聞き手・塚田真裕)

 −高度経済成長期を生きた皆さんと若者世代では人生観が違う。

 大橋基 給料が安くても明日はもっと良くなっていく時代。希望が持てた。

 大橋英 リストラもなかった。定年まで安泰だった。

 森川 明日への希望で職場も明るかった。

 吉田 打ち込めるものを見つけやすかった。

 大橋基 だが、今は違う。若者が仕事に就けないのはもったいない。農業、林業で雇用を生み出す可能性があるのに、農産物と木材を輸入に頼るのは…。

 −いよいよ参院選。その前に、参議院は本当に必要でしょうか。

 大橋基 必要性がピンとこない。いまは衆議院が二つあるような感じ。

 吉田 自民が過半数ならいらないのでは。

 大橋英 しかし、行き過ぎを抑制する効果は期待できる。

 吉田 政党に考えが支配されて反対できない雰囲気がある。

 森川 本来の参議院のチェック機能を果たせる改革が必要。

 大橋基 衆議院と改選時期が違うのもポイントかも。民意を反映する機会が増える。

 −参院選からネット選挙が解禁され、インターネット交流サイト「フェイスブック(FB)」なども使える。

 大橋英 FBは使っている。FBは実名だが、匿名で書き込めるツール(手段)では誹謗(ひぼう)中傷がまん延しそう。

 大橋基 便利だけど怖い面の方が多い。ネット詐欺などの犯罪もあるのだから、選挙でも悪意を持つ人もいるだろう。

 森川 わざわざ候補者情報をネットで知ろうとは思わない。

 吉田 投票を決めるには候補者本人より政党で決めるのが実際じゃないか。政見放送や広報をみて、「さあ、誰にしようか」とは決めない。

 −憲法改正が争点の一つ。

 大橋英 九条は守るべきだ。自衛隊を軍と明記したら、隣国と軍事費増大競争する悪循環に陥るのでは。

 大橋基 いまの平和は九条のおかげ。戦争がある時代にしてはいけない。

 吉田 でも、自衛隊は事実、軍のようなものではないか。紛争地で他国軍が攻撃をされても手を出せないのは問題では。

 森川 だから平和を守れてきたとも言える。自民党支持の人も、九条改正には不安を抱いているだろう。

 −憲法への「国防軍保持」明記はどうか。

 大橋基 徴兵制が始まったらという不安はある。

 大橋英 でも、徴兵制がある国の若者はしっかりしている面もある。

 吉田 愛国心がそこで培われることもある。

 大橋基 若者を鍛えるには、軍である必要はない。平和な国であるのは間違いなく九条のおかげ。

 森川 軍を持つ国に逆行してはいけない。外国の日本を見る目が変わる。

 −原発政策は?

 吉田 原発を動かせないためコストは高くなり、二酸化炭素(CO2)の排出量は増えている。

 大橋基 だからこそ自然エネルギーの活用にもっと予算を割くべきだ。

 大橋英 福島県の報道が減って家に帰れない人がいることを忘れていないか。

 森川 街づくりの活動をしているため、古里への愛着は深い。ここに住めなくなるリスクある原発は廃炉にすべきだ。

 −県の課題は何か。

 大橋英 県南に比べ、湖北は若い人が出て行かざるを得ない経済状況になっている。

 大橋基 雇用創出が課題。若い人が安心して住めるようにしないと。

 森川 少子化対策にも雇用の安定が不可欠。

 吉田 今のままでは住みたくても住めない。

    ◇

 参加者

農業   森川芳一さん(65)

建設業  大橋英一さん(65)

農業   吉田徳夫さん(61)

古美術商 大橋基明さん(56)

 <雨森まちづくり委員会>  朝鮮通信使の案内役を務めた儒学者雨森芳洲を核にした街おこしをしようと、1997年に発足。集落内を水路が縦横に通り、風車が点在する美しい景観づくりで2005年に国土交通省の「手づくり郷土大賞」を受賞。全国から街づくりの視察に訪れる。1990年からほぼ毎年、韓国の中高生が地元住民の家で寝泊まりしながら親交を深めている。