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滋賀

選択の座標軸(中) 大橋松行さん(県立大教授)

◆日常 政治に結び付け

 識者に聞く参院選インタビュー二回目は、県内の政治事情に精通する県立大の大橋松行教授(62)。都道府県知事や政令市長を参院議員と兼務させる改革案や今回の選挙のポイントなど、独自の見解を語ってもらった。

 −衆院選からまだ半年。あらためて参議院の役割、存在意義を。

 衆議院の「数の政治」をチェックする「理の政治」をするところ。良識の府として党利党略を越えて大所高所から国家の在り方を論じて進むべき方向性を示すところで、多数決の偏りを思慮分別で正すことが期待される。

 だが現実は衆院のカーボンコピー。五五年体制以降、参院でも政党化が進み、党利党略が絡んだ議決がなされている。時間をかけて多角的かつ慎重に法案を審議するのが本来の役割だが、衆院を通過した法案を自動的に承認する「議決マシン」として機能している。衆院落選組がくら替え出馬する救済機関となっているのも問題だ。

 −改めるには。

 参院を廃止するか、地方自治法を改正して都道府県知事と政令指定都市の首長を参院議員と兼務させることを提案したい。地方の実情を知っている人たちが議員になれば、地域の要望が政治に反映されやすくなり、地域主権を具現化できる。

 −今回の参院選のポイントは何か。

 自民または自公で過半数が取れるか、自民への高支持率が投票率の向上や自民得票率と獲得議席にリンクするのかどうか。県内で注目すべきは昨年の総選挙の比例で計二十八万票を獲得し、今回候補者を擁立していない維新、未来、みんなの票の行方。棄権もしくは白票を投じた有権者の投票行動も着目点だ。

 見過ごせないのは嘉田由紀子知事の動向。これまで国政であれ地方選であれ少なからず選挙結果に影響を及ぼしてきた。昨年の総選挙後、嘉田知事を取り巻く情勢は大きく変化したが、知事との距離感、四十二万の票を各候補者がどう取り込むかが勝敗の分かれ目となる可能性もある。

 −争点は何とみる。

 京都や名古屋、敦賀の文化が混在する県内で同じ争点を挙げるのは難しい。衆院なら四選挙区それぞれ違った争点があるが、選挙区が県内全域の参院は有権者から遠い存在で、議員への親しみも薄い。あえて挙げるとすれば経済政策。一部陰りも見えるアベノミクス効果にどこまで期待感があるかどうか。県内は中小の製造業が多いが、効果はまだ波及していないだろう。

 −選択の材料は。

 国民のマニフェストへの信頼はなく、誰も数値目標を掲げなくなった。政策を選ぶにせよ先が見えない中、有権者は判断材料に困るだろう。短い選挙期間では何も分からない。

 それでも生活に直結しない政治はない。有権者には、物価でも給与でも身近な日常生活と政治を結び付けて考えてほしい。そうすれば、多様な政策を掲げる政党や政治家を見る目も変わってくる。自分の生活感覚から優先順位を付け、合致するか近い政党、あるいは候補者を選んでもらいたい。

 (聞き手・曽田晋太郎)

 <おおはし・まつゆき> 1951年長浜市生まれ。同志社大法学部卒後、82年仏教大院社会学研究科博士後期課程単位取得満期退学。77〜95年、瀬田高と、長浜商工高(現在の長浜北星高)定時制で社会科教諭を務めた。95年4月から県立大人間文化学部講師。助教授、准教授を経て2008年から同学部教授。専門は政治社会学。現在、県明るい選挙推進協議会副会長、長浜市総合計画審議会会長。趣味は、音楽鑑賞と韓国の歴史ドラマを見ること。