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あす投開票 東海の選管“大作戦”

 投開票が二十一日に迫った参院選。世論調査などで自民党の優勢が伝わり、与野党の接戦ムードに欠ける中、東海三県の各選挙管理委員会は投票率の低下を懸念している。有権者に関心を持ってもらうため、インターネットによる呼び掛けなど啓発に躍起。当日の開票作業のスピードアップに工夫を凝らす自治体もある。

◆投票率上げる

選挙啓発キャラクターとの記念写真を携帯電話で交流サイトに投稿する有権者=名古屋市の金山総合駅で

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 ネットでの選挙活動が解禁された今回の参院選。候補者だけでなく、選管も投票率アップにネットを駆使している。

 愛知県は十九日、名古屋市の金山総合駅で、ボランティアの大学生らによるイベントを開いた。駅の利用者にホワイトボードを渡して参院選への思いを書いてもらい、その様子を撮影した写真を交流サイトにアップ。フェイスブックやツイッターを通じ、友人らに「投票に行こう」などと呼び掛けた。

 三重県は、伊賀市の女子サッカーチーム「FCくノ一」を起用した投票啓発コマーシャルを作成。選手二人がプレーしながら「ここで決める」と訴える内容で、県のホームページで公開している。

 岐阜県は無料動画サイト「ユーチューブ」で、十五秒間の動画を配信。各務原市は地元の大学で学生約二百人にネット選挙をPRし、交流サイトなどで投票依頼が可能になったことを紹介した。

 ネット以外の“伝統手法”を使うのは、愛知県大府市。投票日当日はこれまで、上空から飛行機で投票を呼び掛けていたが、経費削減のため今回は車で市内を巡回する作戦に一本化した。担当者は「空も地上も同じ効果と判断した」と話している。

◆開票を素早く

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 有権者にいち早く投票結果を知らせるため、開票作業の効率化も選管の課題だ。

 愛知県岡崎市は、票の自動読み取り機を前回参院選の二倍の十二台導入。前回は疑問票の審査が長引き、開票作業の終了が翌朝の午前六時四十三分までずれ込んだ。今回は立会人に票の判定基準を分かりやすく解説する資料も用意し、二十一日の開票に臨む。

 三重県松阪市は参院選と市議選のダブル選挙になる。県選管は参院選の開票を優先するよう求めたが、「市民は市議選の結果を早く知りたいはず」(市選管)との思いも。候補者名だけでなく、投票用紙の表裏や上下を分類できる新型の読み取り機を二台投入し、並行開票に備える。

 岐阜県海津市は、開票台に転用する会議机(高さ七十センチ)の脚に器具をはめ込み、台の高さを十センチ上げる。職員の腰にかかる負担を軽くし、作業を円滑に進めるのが狙い。担当者は「十センチは見た目以上に大きい。台の高さを上げた分、効率アップにもつなげたい」と意気込んでいる。

◆識者「利益を手放さないため投票を」

 同志社大法学部で投票行動を研究する飯田健准教授によると、投票率が上がる条件は「与党に不満があり、かつ、その不満の受け皿として野党が存在すること」。今回の参院選では「有権者はアベノミクスに期待こそすれ、さしたる不満はない。野党も受け皿としての十分な役割を果たしていない」と話す。

 さらに、与野党の支持率の差が大きいほど、有権者は「自分の一票は影響を与えない」と判断し、投票に行かなくなるという。参院選の終盤、本紙が中部9県で行った世論調査は、自公の支持率計40%に対し、野党は全党合わせて21.8%。これらを考慮し、飯田さんが予想する投票率は、前回の57.92%を下回る「55〜56%」だ。

 昨年末の衆院選は59.32%で過去最低、先月の都議選は43.50%で戦後2番目に低かった。飯田さんは選挙をめぐる「世界的な傾向」とした上で、「積極的に投票に行くのは教育レベルが高い富裕層が多い。投票率が低いと、政治家は富裕層しか向かない。得るべき利益が損なわれる可能性があると考えれば、一票を投じる意味が生まれる」と、投票の大切さを訴えている。