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改憲是非 もっと話そう 各党の主張、愛知大生らが議論 

各党の憲法改正への姿勢を議論し、意見を出し合う学生ら=名古屋市中村区の愛知大で

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 中盤に入った参院選。安倍晋三首相が目指す改憲は経済対策などに隠れて争点からかすんでいるが、憲法を学ぶ学生らは投票の参考にするため、各党の主張を熱心に学んでいる。国の形につながる重要なテーマとあって、大学の枠を超えた関連イベントを計画している学生サークルもある。

 参院選公示後の八日、愛知大法学部(名古屋市中村区)の憲法ゼミ。選挙権を持つ三、四年生十四人が最近の新聞記事を基に、改憲をめぐる各党の姿勢を話し合っていた。

 「自民党は、集団的自衛権も憲法に明記しようとしてるの?」「民主党は主張が分かりにくい」…。質疑が続く中、男子学生の一人が話題にしたのが、みんなの党の公約。改憲の発議要件を両院の「三分の二」以上の賛成から「過半数」に緩和する主張を明記しなかったことを、不思議に思っている。

 「(主張が似ている)日本維新の会と差別化を図ろうとしているのでは。各党が独自性を出そうとするのは、アイドルの話題づくりに似ているね。AKBと違うことをやろう、とか」。長峯信彦教授(47)がジョークを交えて答えると、教室が笑いに包まれた。

 その維新の公約にも質問が出た。「自立した安全保障体制確立のため憲法改正する」の部分が分かりにくいという。長峯教授は「米国との関係をどうとらえるか、改憲政党の中でも意見は異なる。憲法への姿勢は、党の価値観そのもの」と説明すると、学生たちがうなずいた。

 九十分の授業の終盤、学生らは手元のホワイトボードにペンを走らせた。「公明党の加憲という考え方が妥当」「(改憲に反対する)共産党の意見がいい」などと感想を発表。「九六条改憲に賛成」と書いた四年の辻修平さん(22)は「国民投票をしやすくし、考える機会を与えるべきだ」と理由を述べた。

 一方、三年の高瀬裕介さん(22)は、「国民投票法は最低投票率を規定していない。投票率が低ければ、国民の何分の一かの賛成で憲法が変わってしまう」と、現行法の“不備”も指摘した。

 授業後、「改憲に対する姿勢を投票の参考にするか」との記者の問いに手を挙げたのは、十四人中九人。三年の加藤文香さん(21)は「小さな政党で自分の意見に合うところもあったけれど、どの党も改憲のメリットとデメリットをもう少し分かりやすく示してほしい」と望んだ。

 大学をまたいで憲法を議論している学生もいる。社会問題を考えるサークル「アウトプット」代表の南山大三年森橋俊之さん(21)は「将来、社会の中核となるのは僕ら。改憲はいま身近な問題でなくても、重大なテーマなんです」と話す。

 昨年秋、尖閣諸島の国有化をめぐり、日中の摩擦が高まった際、友人と議論になった。「こうやって意見を言い合いたくても、相手がいない人も多いのでは」とサークルをつくり、南山、名古屋、愛知淑徳、中部の四大学の十二人が参加。普段政治に関心のない同世代を引きつけるイベントを企画する。

 週一回の会合では改憲の話題も出るが、「学校できちんと教えられていないし、議論の前に、僕らは憲法をよく知らない」と気付いた。「改憲は選挙が終わってからも続くテーマ。いつかイベントで形にしたいけれど、まずは投票に行くことが大事」と話している。

 (栗田晃)