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実体経済の回復が重要 中部の市場関係者

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 安倍政権の経済政策「アベノミクス」の評価が問われる参院選が四日始まった。日本経済の先行きを映すとされる株価は、この半年間、バブル期を上回る急ピッチで上昇した後、五月下旬以降は乱高下。今後の行方を注目する市場関係者らからは「政策を推し進めてほしい」と政治の安定を望む声の一方、「実体経済の回復を伴っていない」とアベノミクスへの懸念も聞かれた。

 「顧客の姿勢が昨年までと比べて明らかに積極的になった」。東海東京証券で個人向け営業を担当する山崎航さん(32)は、アベノミクス効果を語る。

 株価は、円安で輸出企業の業績が改善し経済全体の回復が進むとの期待感で上がった。日経平均株価は五月二十二日に一万五六二七円と昨年十一月に比べて八割近くも上昇。だが翌二十三日には、一気に一一〇〇円余り急落した。山崎さんは「上昇が急ピッチで実体経済とかけ離れてしまい急落した」と振り返る。この時ばかりは「この下がり方は何だ」と焦る投資家の自宅を一軒一軒訪ねて説明に回った。

 その後、アベノミクス「第三の矢」の成長戦略にも、市場は内容に具体性がなく期待外れと失望売りを浴びせ、六月十三日には株価は四月の大胆な金融緩和前の水準に戻った。

 仕切り直しの形となった株価は最近、米国などの海外経済の回復基調を反映し上昇。加えて都議選の自民大勝の流れを受け、「参院選で長期安定政権が誕生するとの観測から株価が落ち着きを取り戻した」(市場関係者)との見方もある。

 参院選を「アベノミクスへの信任投票の意味合いが強い」と木村証券の北川彰男チーフエコノミストは分析。山崎さんは「今後、成長戦略に肉付けし、実体経済の回復を力強く進められるかどうかを市場は注視している」と話す。

 安藤証券の横山貢調査部長は「参院のねじれが解消されれば、規制緩和や投資減税など腰の入った政策が実行できる。年内の一万八〇〇〇円台も見えてくる」と期待する。

 一方、「非製造業は円安で原材料高となり、業績へのダメージが出てきている。賃金が上がらないまま物価が上昇し、小売りへの悪影響も心配」と、共立総合研究所の江口忍名古屋オフィス代表はアベノミクスの副作用を指摘。「全体の株価は大きくは上がらない」と予想する。

(平井良信)