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争点の現場から上がる切実な声

参院選について話す岡本誠さん(左)、早苗さん夫妻=4日午前、名古屋市熱田区で

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 被災者支援、子育て、景気対策など、さまざまな争点を問う参院選がスタートした。先の読めない時代に不安を募らせる有権者たちは各党、候補者の訴えに耳を傾ける。「被災者の生活を優先して」「末端に行き渡る経済政策を」。争点の現場から、切実な声が上がった。

◆町工場 先の見える安定社会を

 安倍政権発足後の円安で大手輸出メーカーが利益を上げる中、自動車部品用トレーを作る岐阜県関市のプラスチック包装材メーカーの武井正人社長(57)は「うちはまだ実感できていない」と首を振る。

 従業員は四十五人。原料は中国製で輸入価格は二割以上急騰した。だが価格転嫁は難しい。苦境の家電業界に納入していた関西の同業者が自動車業界向けの商品を作り、安売り攻勢をかけているため。「うちのような中小零細企業が、調達コストを吸収せざるをえない」。国内生産を維持したいと思っており、「経営の先が見通せる安定した社会を保ってほしい」と力を込める。

◆避難者 生活再建を最優先に

 福島第一原発事故で福島県伊達市から避難し、名古屋市熱田区の団地で五人の子どもを育てる会社員岡本誠さん(39)と妻早苗さん(35)は、参院選公示を伝えるニュースにいら立った。「経済政策や改憲が争点? 被災者の生活再建を優先して」

 早苗さんは事故時、五人目の子がおなかの中にいた。一〜七歳の四人を連れて避難し、焦りや疲労でうつ状態に。誠さんは十二年間勤務した教育団体を退職し、現在の会社に転職するまで四カ月間失業した。夫婦は「国民に愛国心を求めるくせに、国民を愛さない政治はこりごり。脱原発の道筋を示してくれる人を選ぼう」と誓い合う。

◆子育て ママ支援充実に期待

「働きながら子育ての手助けをしてもらえる場が欲しい」と語る丹羽満里子さん=4日午前、愛知県一宮市の市中央子育て支援センターで

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 愛知県一宮市の駅ビルに昨年オープンした市中央子育て支援センターは、四日午前も若い親子でにぎわっていた。一歳の長男と毎日訪れる一宮市の主婦丹羽満里子さん(32)は「四六時中、子どもと離れられないのは大変」と疲れた顔を見せる。

 安倍政権は「待機児童ゼロ」や「育児休業の三年延長」を掲げ、選挙公約で「女性が輝く日本」をうたう。

 出産を控えて仕事を辞め、再び働きたいと望む丹羽さんは「子育て重視の姿勢は期待できる」としながらも「三年の育休が分割取得できるなど、使いやすい柔軟な制度かどうかが大事」と注文。「育児支援をしっかり訴える候補者に投票する」

◆漁業者 円安の恩恵届かない

 三重県紀北町で定置網漁を営む庄司吉男さん(72)は、港で水揚げした魚を選別しながら「円安による燃料高が深刻。小型船を中心に漁を休む仲間も出ている」と漏らす。

 網を張っている場所は沖合四・六キロと比較的近場だが、八トンの船で一カ月に八百リットルの軽油を使う。魚の値段も下がっているため影響は大きい。

 それでも「経済対策で円安が進むのは、仕方がない面もある」と安倍政権の政策に一定の理解を示す。「問題は、円安の効果が消費者にまで広がっていない点。消費が拡大し、魚の値段も上がるような経済対策をとってほしい」と期待を寄せた。