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改憲安倍節ひと休み 立候補予定者は…

通常国会閉会にあたり、記者会見する安倍首相=26日夕、首相官邸で

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 火付け役のトーンダウンで改憲問題が宙に浮く中、参院選が事実上、始まった。安倍晋三首相は国会が閉会した二十六日の記者会見でも「憲法改正は国民の議論が深まってから」と慎重な言い回しに終始した。参院本会議で首相問責決議が可決されるなど、与野党の対立は激しさを増す。改憲姿勢を「決して隠していない」と強調する自民党議員に対し、「選挙で前面に打ち出すべきだ」と追及する野党議員。有権者の戸惑いをよそに参院選は間もなく公示を迎える。

 よどみのない声。自信に満ちた顔。二十六日夜、官邸で記者会見した安倍首相は、政権発足からの半年を振り返り、自らの経済政策「アベノミクス」の成果を声高に訴えた。

 ただ改憲にまつわる質問には、声のトーンが急に落ちた。

 「どの条文をどのように変えていくのか、慎重に取り組んでいくべきだろう」。政権奪取後、改憲の発議要件を衆参両院の「三分の二」以上の賛成から、「過半数」に緩和する九六条の先行見直しを唱えてきたが、国民の理解が深まっていないと判断した。改憲への意欲が薄れていないことは強調しつつ、ひとまず懐にしまったようだ。

 参院選では、経済政策を前面に押し出す構えだ。争点から改憲がぼやけつつあるが、岐阜選挙区に出馬を予定する自民新人、大野泰正さん(54)は「決して隠してなどいない。トーンダウンしているとも思わない」。

 自民は既に改憲草案を発表している。大野さんは九六条など個別の条文の見直しには「国民的な議論」が欠かせないとの立場。「安倍総理もそう考えて、無理押しは避けているのだろう」

 滋賀選挙区の民主現職、徳永久志さん(50)は二十六日の参院本会議で、安倍首相の問責決議案に賛成した。与野党のヤジが飛び交う中、民主の小川敏夫参院議員が「憲法九六条を都合よく改正しようとする安倍首相の姿勢は民主主義への挑戦で、断じて許されない」と訴えると、拍手を送った。

 徳永さんは「憲法を改正しなければ日本の未来はないと思うのならば、何条をこう変えますと選挙で前面に打ち出すべきだ」と、自民に真っ向勝負を求めている。もっとも民主には逆風が吹く。本会議の終了後、足早に地元へ向かった。

 愛知選挙区から出馬予定の共産新人、本村伸子さん(40)は、名古屋駅西口で街頭演説した。都議選で党が躍進したことに触れ、「国会で共産の議席が増えれば、国民の暮らしも良い方向に変わる」と、小雨に打たれながら熱弁を振るった。

 演説後、安倍首相の改憲方針について「世論の批判を受けて九六条の議論を控えているが、改憲への意欲は明白だ」。早くも選挙後をにらみ、警戒感をあらわにした。

◆慎重発言増える首相

 安倍首相は昨年暮れの衆院選でも改憲を主張。今年四月の参院予算委員会では、九六条の先行改憲を「夏の参院選でも堂々と掲げて戦うべきだ」と明言していた。

 しかし、連立を組む公明党から慎重論が高まり、複数の世論調査では改憲反対が賛成を上回る結果に。米議会調査局に自身の歴史認識を「強固な国粋主義者」と批判されたことも、言葉を弱めた理由の一つとみられる。

 今月に入り、条文によって発議要件に差をつける案に理解を示し始めた。参院選の公約に「憲法改正」は明記したが、経済対策などを前面に打ち出し、改憲色は薄れている。

 九六条の改憲では、みんなの党と日本維新の会が前向きな姿勢。民主、共産、社民は反対している。

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