中部の出馬予定者 ネット選挙やる気満々
インターネットを使った選挙運動が今夏の参院選から解禁される見通しだ。この地方の立候補予定者らは、初の「ネット選挙」とどう向き合うのか−。多くがこぞって選挙戦での活用を考える一方、中傷されたり、ネットに不慣れな高齢者との情報格差を懸念したりと、不安も漏れた。
中日新聞社は愛知、岐阜、三重、長野、福井、滋賀の六選挙区の立候補予定者のうち十七人にアンケート。ネット選挙への準備状況などを聞いた。
個人のホームページを持つのは十三人。ネットの日記「ブログ」は十一人、短文投稿サイト「ツイッター」は六人がやっていた。十六人が選挙に向けてネットを活用すると明確に答えた。ネットを有権者とつながる「武器」ととらえる予定者は多い。
「組織を持たず活動している。小政党がより多くの人に政策を発信できるチャンス」。愛知選挙区から出馬する方向の薬師寺道代さん(48)=みんなの党=は全面的に賛成だ。「IT戦略チームをつくり、専門家から技術指導を受ける」と作戦を練る。
三重選挙区の高橋千秋さん(56)=民主=は「選挙の度にホームページをリニューアルしている。まもなく新しくする」と積極活用する考え。福井選挙区の滝波宏文さん(41)=自民=はホームページを近く公開予定で「ネットに詳しい人からレクチャーを受けている」。
一方で「解禁」に賛同しながらも不安や課題を挙げる人もいる。岐阜選挙区の大野泰正さん(53)=自民=は「パソコンや携帯電話に不慣れな高齢者に情報が伝わりにくくなる」。長野選挙区の唐沢千晶さん(42)=共産=も「高齢者との格差が広がらないようにすることが重要」とくぎを刺す。
ネット特有の問題を挙げる意見も。
「一方通行のコミュニケーションゆえに中傷されたりするのは怖い」と訴える滋賀選挙区の二之湯武史さん(36)=自民。「ネットは最大限使いたいが、あくまで補助的。バランスが大切」と考える。他人が候補者に成り済ます危険性を指摘する意見もあった。
「一回の握手や街頭演説で自分の雰囲気を知ってもらった方が、支持が広がると思う」。愛知選挙区の酒井庸行さん(61)=自民=は、相手の顔が見えないネットよりも、従来型の選挙活動が重要だと強調した。
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<ネット選挙に対する参院選立候補予定者の意見>
若い人を政治に近づける機会になる
金や運動員の多い候補が有利にならないようにすべきだ
企業・団体には解禁すべきでない
素性の分からない人による妨害を懸念
成り済ましや捏造(ねつぞう)が心配。十分な法的対策や技術確立を
高齢者には難しいのでは
ブログの更新頻度を上げたい。内容を薄くしないように
動画も活用したい
研修や懇談会を開いて研究したい
専属のネット担当をつくる。外注も検討中
ネットはあくまで補助的で、バランスが大切