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改憲勢力3分の2 首相「国会で議論」

2016年7月11日

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 第二十四回参院選は十日投開票が行われ、安倍晋三首相が総裁を務める自民党と公明党の与党、改憲に前向きなおおさか維新の会、日本のこころを大切にする党の改憲四党と同調する無所属議員ら改憲勢力が非改選を含め改憲の発議に必要な三分の二以上(百六十二議席)の議席を獲得した。改憲を発議する要件が衆参両院で整ったことで、戦後一度も行われなかった改憲が現実の政治課題となる可能性がある。在任中の改憲を目指す首相は秋から国会で議論を進める考えを表明した。投票率(選挙区)は共同通信のまとめ(十一日午前一時現在)によると54・70%。前回の二〇一三年を2・09ポイント上回ったが、過去四番目に低かった。

 首相は十日夜の民放テレビ番組で、改憲勢力が議席を伸ばしたことについて、「今回の選挙で改憲の是非が問われたわけではない。舞台は憲法審査会に移るべきであって、そこで議論が深まっていく」と、衆参両院の憲法審査会で、与野党により具体的な改憲項目を絞り込む議論を進めたい意向を強調した。

 首相が勝敗ラインに掲げていた与党の改選過半数(六十一議席)にも達した。首相は民放テレビ番組で「しっかりとアベノミクスを加速せよということだと思う。国民の期待に応えたい」と述べ、参院選の勝利は政権の経済政策「アベノミクス」が国民から支持された結果との考えを示した。野党四党が廃止を求めた安全保障関連法も維持し、日米同盟を基軸にした外交・安保政策を進めていく。

 自民は十三ある複数区全てで議席を獲得。千葉と東京では二議席を占め、改選五十議席を上回った。しかし、沖縄で島尻安伊子沖縄北方担当相、福島で岩城光英法相と自民の二閣僚が落選した。

 公明は東京や神奈川、愛知など複数区に擁立した七人全員が当選した。

 改憲勢力は今回七十四議席を超え、非改選の八十八議席と合わせて三分の二に達した。衆院では与党だけで三分の二以上の議席を確保している。

 民進、共産、社民、生活の野党四党は、改憲四党に三分の二以上の議席を与えるのを阻止すると主張。三十二の一人区全てで統一候補を擁立し、十一勝をあげた。共闘野党は安全保障関連法の廃止や格差を是正するためとしてアベノミクスの転換も訴えた。

 三十二の一人区のうち野党統一候補が岩手と山形、新潟、沖縄で当選したが、全体として自民を上回る議席は得られなかった。

 民進は一人区のうち宮城や福島、山梨、長野、三重など七つの選挙区で議席を獲得。複数区の北海道と愛知、東京では二議席を占めたが、改選四十三議席に届かなかった。

 共産は東京で議席を得るなど、改選三議席を上回った。社民は比例代表で一議席を得たが、吉田忠智党首は落選した。

 おおさか維新は地元の大阪で二議席、兵庫でも一議席を得て、改選二議席を超えた。新党改革と地域政党「減税日本」、政治団体「国民怒りの声」は議席を得られなかった。

 今回の参院選は七十一年ぶりに選挙権年齢が拡大され、十八、十九歳が投票権を得て初の国政選挙。くらし・アベノミクス、安保法制、原発、憲法が主な争点になった。

 <改憲4党と改憲勢力> 「改憲4党」は自民、公明両党の与党と、改憲に前向きなおおさか維新の会、日本のこころを大切にする党。この4党に、改憲に賛成する諸派・無所属(共同通信社の調査と本紙の取材では、非改選は4人、改選は神奈川選挙区で当選した中西健治氏)を加えた人数が「改憲勢力」。

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