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信頼に足る政治であれ 論説主幹・喜聞広典

2016年7月11日

 いつか振り返れば歴史の大きな岐路だったかもしれない。参院選が終わった。国民投票への発議も可能になり、いよいよ憲法改正の禁門が開くかもしれない。そういう岐路である。

 けれども、憲法が選挙の本質だったわけではない。無論、争点でもなかった。

 世論調査などによれば、この岐路で多くの有権者が思いを寄せたのは、改憲のような理念より、もっと切実な願いだろう。日々のあるいは将来の、豊かな暮らしに期待をかけた選択だったにちがいない。

 そして「十八歳選挙権」の初選挙でもあった。若い世代が新たな“主役”となり、政治を信頼して、その一票一票に自分たちの未来を託したのである。

 選ばれた議員たちはこの信頼をはき違えてはなるまい。一つには、憲法の主権者はあくまで国民であり、今回、政治に憲法のことまで一括一任されたのではない、ということだ。

 もう一つは、改憲手続きの重さである。改憲は何世代にもかかわる重大な選択だからこそ、国民の判断を仰ぐ手順も厳重でなければならぬ、ということだ。

 長い議論の末に、国民の過半が改憲を望むような、世論の醸成が基点になければならない。国会はその民意を受けてこそ、発議に動き、国民投票に付す。これがやはり民主主義本来の手順というものだろう。

 発議を先行させ、少ない議論で国民に重い判断を迫るのでは、話が逆である。

 まして、短兵急の国民投票が招く社会分断の険しさは、英国の例を見るまでもなかろう。

 それでも発議を急ぐのなら、せめて一度は改憲を大争点にした総選挙で、国民の真意を問い直すべきだ。

 有権者の信頼を政治が重く受け止めるのであれば、それからでも決して遅くはないのである。

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