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待機児童、公約競うが… 財源など重い課題も

2016年6月27日

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 保護者が希望しても子どもを保育所に預けられない待機児童の解消策が、参院選の争点の一つとなっている。「保育園落ちたわ。どうすんだよ 私活躍出来(でき)ねーじゃねーか」と、政府の対応を過激な口調で批判した匿名のブログをきっかけに、与野党が受け皿確保などの対策を競い合う。消費税の10%への増税が再延期され、財源を確保しながら有効策を打ち出せるのか、政治に重い課題が突きつけられている。

 「子どもの声がうるさい」「路上駐車が増える」−。

 四年前、名古屋市東部の住宅街であった私立保育園の新設に関する地元住民への説明会。「定員六十人の新しい園をつくりたい」との園側の説明に、住民から反対が相次いだ。園側は「防音ガラスなどの対策を取る」と理解を求めたが、聞き入れられなかった。計画は中止され、今はその場所に真新しい家が立つ。

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 「静かな住環境を求めて引っ越してきた。どうしても受け入れられなかった」と話すのは、反対派の一人だった近所の主婦(55)。訴訟も辞さないという住民もいたという。一方、園側の一人だった男性は「反対されれば断念はやむを得ない。需要が多い地域だっただけに残念」と振り返る。

 待機児童は都市部を中心に多い傾向にある。名古屋市の今年四月現在の待機児童はゼロ。だが、統計上の数字には含まれないが、希望の保育所の利用がかなわない「隠れ待機児童」は五百八十五人(前年比三十九人増)に上る。国全体の隠れ待機児童は昨年四月時点で六万人いるという。困難な受け皿整備とともに、待機児童解消に必要なのが保育士の確保。だが、こちらにも暗雲が垂れ込める。

 厚生労働省によると、保育士の有効求人倍率は今年四月現在、全国平均で一・六二倍(前年同期比〇・三二ポイント増)。中部地方では、滋賀が二・〇〇倍(同〇・四五ポイント増)、福井が一・八三倍(同〇・六九ポイント増)と全国平均を上回る。ほかに岐阜一・三二倍(同〇・二七ポイント増)、愛知一・一二倍(同〇・二三ポイント増)などと、いずれも昨年よりも人手が不足している。

 こうした要因の一つが待遇の悪さ。民間事業所で働く保育士の平均賃金は月額二十二万円弱で、全職種の平均より十一万円安い。

 政府は当初、消費税増税分のうち、一・三兆円を子育て支援を含む社会保障の充実に充てる計画だった。増税は再延期されたが、「ニッポン一億総活躍プラン」でうたう「二〇一七年度末までの五十万人分の受け皿整備」「保育士給与の2%引き上げ」などは、看板政策として先行実施するとしている。

 保育コンサルタント「アイギス」(東京)の脇貴志社長(43)は「保育所の騒音問題がある中、新設が簡単ではない。保育士給与の2%引き上げ程度で、人材を呼び込むことも難しい。消費税増税を再延期した今こそ、長期的な視野に立ってあるべき姿を語るときだ」と指摘する。

 (市川泰之)

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