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農政連、TPPで政権不信 10府県で自民推薦見送り

2016年6月27日

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 東北地方を中心に、全国十府県でJAグループの政治運動組織「農業者農政運動組織連盟」(農政連)が、七月の参院選で自民党候補への推薦を見送ったことが本紙の取材で分かった。JAグループは自民党の有力な支持層とされてきたが、環太平洋連携協定(TPP)などを進めた安倍政権への不満が背景にある。安倍晋三首相(自民党総裁)は東北を重点的に遊説するなど、農業票の引き留めに躍起だ。

 十府県は青森、岩手、宮城、秋田、山形、石川、三重、京都、高知、佐賀。これらの農政連は野党側にも推薦を出さず、自主投票とした。改選二の京都以外は、参院選の勝敗を分ける一人区。

 三重、石川のように、以前から原則として推薦を出していない農政連もあるが秋田や高知、佐賀の農政連は二〇一三年の参院選では自民候補を推薦していた。

 特に東北六県で、自民党候補を推薦したのは「原発事故からの復興のため、政権与党とのつながりを考慮した」という福島県農政連だけ。安倍政権がTPP交渉を妥結(今年二月に協定文に署名)させたことや、全国農業協同組合中央会(JA全中)の一般社団法人化など農協改革への反発がある。東北は農業を主要産業とする地域の中でも、特にコメの比重が大きい。

 秋田県農政連の担当者は「自民への反発というより、TPP推進の安倍政権に対する反発」と説明。別の県の農政連担当者は「安全保障関連法の進め方もいかがなものか」と話す。

 農業票は当落を大きく左右するだけに、首相も重視。二十四、二十五両日は二巡目となる東北遊説に入った。宮城県多賀城市での二十五日の街頭演説では「宮城の『ひとめぼれ』(ブランド米)や牛タンを輸出するため、国が前面に立って支援する」とTPPという言葉は使わず、輸出で農家の所得を増やすと訴えた。

 安倍政権は昨年十一月、TPPへの不安を拭い去るため、農林漁業の強化策を柱とした「TPP政策大綱」を策定。自民党も参院選公約とは別に、初めて東北に特化した地方版公約をつくり「農業重視」をアピールする。それでも「農家は納得していない」(青森県農政連の担当者)と厳しい声が上がっている。

(山口哲人)

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