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住所変更、なお壁に 新制度の利用不透明

2016年6月24日

 今回の参院選では、進学や就職で四月前後に住民票を移した十八、十九歳の新有権者が「公職選挙法のすき間」で投票権を失う恐れがあったが、旧住所で投票できるよう公選法の改正で解消された。ただし、どれだけが新制度を利用するかは不透明だ。

 公選法では、有権者は住民票を置く市区町村に三カ月以上住んで「選挙人名簿」に登録されないと投票できない。転出した後も一定期間は登録が消えないため、引っ越して三カ月未満の場合は旧住所で投票できる。

 ただ、十八、十九歳は、二十二日公示の参院選で初めて選挙人名簿に登録。三月二十二日以降に住民票を移した新有権者は、新住所では居住三カ月未満で投票できない。さらに旧住所ではこれまでに選挙人名簿に登録されたことがないため、投票権そのものが失われる恐れがあった。

 そんなすき間を埋めるため公選法は改正されたが、今月一日に青森県から名古屋市に住民票を移した椙山女学園大一年、藤田怜央菜さん(18)は「授業があるのに、旧住所の青森に帰ることは考えられない」。郵送で関係書類をやりとりする不在者投票も「利用は考えていない」と語る。

 熊本県出身で三月下旬に長野県松本市に引っ越した信州大一年、川崎真一朗さん(19)は「たぶん地元へ投票には行かない。長野では、熊本の候補者の意見や人となりを詳しく知ることができないから」。京都市から三月末に転入した福井県永平寺町の県立大一年、吉舎(きさ)直輝さん(18)は「京都に帰る時間はなさそうだけど(郵送で手続きできる)不在者投票を調べて多少面倒でも投票したい」と話した。

◆学生への周知必要

 <名古屋市立大の三浦哲司准教授(地方自治論)の話> 公選法の改正点や不在者投票制度そのものを大学側が主権者教育の一環として学生に積極的に周知する必要がある。

 一方で、不在者投票の手続きを大学が代行できるようにするなど、国が柔軟な制度設計をしていくことも望まれる。

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