全国

税や社会保障、広がる世代間格差

2016年6月17日

写真

 税や社会保障の負担と受益を巡って、若者と高齢者の世代間格差が深刻化している。民間シンクタンクの推計によると、生涯賃金に占める税金や社会保険料などの負担率は、現在の二十代と六十代とで倍近い開きがある。増税の先送りなど、将来にツケを回す政治が続けば、若者や未来の世代の負担は一層膨らみかねない。

 中部圏社会経済研究所(名古屋市)が、九十四歳まで生きた場合に受け取ることができる年金や介護・医療サービスなどから、一生涯で支払う税金や社会保険料を差し引きした金額を推計。この金額を生涯賃金で割って、物価の変動分などを加味した上で、世代ごとの「生涯純税受益率」を算出した。

 戦後の貧しい時代を生きた八十五歳以上は給付額が負担額を上回る「受益超」となる。逆に八十五歳未満は全世代が「負担超」で、年齢が若くなるほど負担の割合は重い。増え続ける高齢世代を支える若者世代の人口が減っているためだ。

 「現在は社会保障の赤字を国の借金で賄い、若者や将来世代に負担を先送りしている状況」と話すのは、社会保障に詳しい法政大経済学部の小黒一正教授(公共経済学)。小黒教授の試算によると、今回の消費税増税の延期で「六十歳以上の高齢世代の負担は生涯で一人当たり八万円減る一方、十九歳以下の世代は四十四万円の負担増になる」という。

 社会が豊かになってインフラの整備も進んでおり、社会保障の負担と受益のバランスだけで「若者は恵まれていない」とは断言できない。一方で、成熟した今の日本では、高度成長期のような経済の伸びは望みにくい。

 小黒教授は「現状を直視して増税を断行するなど、高齢者も含めた全ての世代が痛みを公平に分かち合うようなシステムづくりが必要だ」と話す。

 (白石亘、石原猛)

主な政党の公約

新聞購読のご案内