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改憲、くらし守れるか

2016年6月17日

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 安全保障関連法の廃止を訴える高校生中心のグループ「ティーンズ・ソウル」。今月十日夜、毎週金曜日に続けてきた国会前活動を締めくくる最後のデモが終わると、中心メンバーの福田龍紀(りゅうき)さん(18)がマイクを手に、こう訴えた。「市民の、市民による、市民のための政治を参院選からつくり上げていく。今こそ立憲主義を問う」。十八歳選挙権が導入される参院選で、福田さんも選挙権を得る。

 ティーンズ・ソウルは、「戦争に行かされるのは自分たち若者」という危機感から参加したメンバーが多い。しかし、福田さんの動機は憲法だった。

 懸念するのは自民党の改憲草案。憲法によって国家権力から国民を守る「立憲主義」に立つ今の憲法は、国会議員ら権力側だけに憲法尊重擁護義務を課しているが、草案は国民にも課す。「国民側が憲法違反とか言われ、政権を批判できなくなる。憲法が壊されると生活がむちゃくちゃになる」

 現行憲法は平和的生存権や戦争放棄、個人の尊重など、さまざまな権利と自由を規定。国民が安心して生活する基盤となっている。参院選で主要争点となるくらし・アベノミクス、安保法制、原発も、国民の平和なくらしを左右する点で、憲法にかかわる問題だ。

 二〇一四年十二月の前回衆院選以降、安倍政権が進めてきた施策は、憲法との関係で度々議論になった。

 集団的自衛権行使を容認した安保法は、多くの憲法学者が九条違反と指摘。高市早苗総務相が、「政治的公平」を欠く放送局への電波停止命令に言及すると、二一条が定める表現の自由に照らして疑問の声が上がった。

 地元の反発の中で進められる沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設には、「地方自治の本旨」を定めた九二条に反するとの批判がある。「一票の格差」が最大二・一三倍だった前回衆院選について、最高裁は昨年十一月に「違憲状態」と判断。衆院選で三回連続の違憲状態判決だった。

 そんな中、安倍晋三首相は自民党総裁任期(一八年九月まで)中の改憲を目指している。具体的な改憲項目は示していないが、改憲派の間では、まず環境権などの「新しい権利」や、災害時の国への権限集中や私権制限を盛り込んだ「緊急事態条項」を新設する案が有力。比較的理解を得やすいとの判断からだ。

 しかし、首相がその先に目指すのは九条改憲だ。首相は、戦力不保持を定めた九条二項を「書き換えていく」と明言している。

 改憲勢力が参院で三分の二以上の議席を獲得すれば、衆院と合わせて改憲発議が可能になる。憲法を変えても平和なくらしは守られるのか。参院選は重大な選択となる。

 (山口哲人)

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