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10代へ 党PR熱く 投開票まで1カ月

2016年6月10日

 選挙権が十八歳以上に引き下げられる参院選の投開票(七月十日)まで一カ月となり、各政党による若者へのPR合戦が過熱している。ゆるキャラやカリスマモデル、オタク文化…。十代の有権者の割合は全体の約2%にすぎないが、各党が力を入れる背景には、若者の情報発信力への期待や、将来に向けて囲い込みたい思惑などが垣間見える。

 「あだ名はシオリンに決定!」「イエーイ」

 九日夜、「女子高生の聖地」と呼ばれる東京・原宿のビルの一室で、十代に人気のファッションモデルたちが司会を務めるネット番組の生中継があった。

 ゲストは民進政調会長の山尾志桜里衆院議員(41)。「東大出身? バリすごいやん!」。モデルらの屈託ない質問にたじろぎながらも「今度の選挙から十八歳以上も投票できる」と、宣伝を忘れなかった。

 司会のモデルらの投稿サイトにはいずれも、十数万人の読者がいる。その発信力に目を付けた民進は今春から、原宿で定期的にモデルを集めたイベントを開催。広報担当者は「十代にはスマートフォンで情報を拡散させる力がある。まずは変わったばかりの党名を覚えてもらうだけでも十分」と期待する。

 新たに選挙権を得る十八、十九歳は約二百四十万人。各党はネットを介した情報発信力と、身近な親や友人への広がりに期待する。武蔵大の松本恭幸教授(メディア社会学)は「支持政党がなく白紙で選挙に臨む十代を、継続的なファンとして取り込もうという狙いがある」と分析する。

 自民は、若者に人気のサブカルチャーを取り込んだ。四月末に開かれた動画配信会社のイベントに出展した街宣車は、安倍政権の経済政策・アベノミクスにちなんで「三本の矢」を手にしたイケメン戦国武将のアニメキャラクターが全面に描かれ、オタク界でおなじみの「痛車(いたしゃ)」(痛々しい車)として注目を集めた。広報担当者は「会場やネットで見た若者らに、緩やかに政治への興味を持ってもらうための仕掛け」と話す。

 公明は党名をもじったコメ形のゆるキャラ「コメ助」を活用。風船人形を事務所に置き、スマホ用ゲームアプリも作った。共産も「カフェに置けるほどおしゃれ」をコンセプトにした若者向けパンフレットをつくり、全国の大学で配っている。

 政党が繰り出す“あの手この手”を受けて、松本教授は若者に警鐘も鳴らす。「選挙でのアピールと、実際に若者に予算が割かれるかは別問題。選挙後も政治に関心を持ち続けないと、奨学金の充実など、若者のための施策は引き出せない」

 (参院選取材班)

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