長野

<争点の現場>(2) 地方創生

2016年6月15日

◆女性のやりがい 鍵握る

 川上村役場のそばにある村営直売所「森の駅 マルシェかわかみ」の棚に並んだ新鮮なレタスを、観光客などが次々と手に取っていく。ハーブやタマネギの苗、手芸品やアクセサリーもある。主に村の女性たちが手掛けた商品だ。

 十八歳で村を出て東京で暮らし、二年前に夫と村に戻りレタス農家を継いだ古橋小百合さん(33)は、ズッキーニやトマトなどの野菜、友人のデザイナーと作った手ぬぐいを売る。店の運営にも参加する。

 古橋さんは東京でレストラン経営に携わった時、村のレタスを客に絶賛され「村の素晴らしさに気付いた」と話す。経験を生かし、レタス以外の野菜も作ろうと考えた。

 「赤いトマトが百円なら、黄色いものは二百円。珍しい野菜は注目される」。マルシェかわかみは格好の出荷先になった。東京のスーパーへの出荷も目指す。「他の女性も、農作業以外で頑張れる場ができて、生活に活気が生まれている」と変化を感じている。

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 マルシェは昨年八月にオープンした。農業生産から加工、販売までを手掛ける「六次産業」を広げつつ女性の活躍の場を作る−。政府が力を入れる地方創生に基づき、村が立てた戦略の一つだ。

 レタス栽培で農家の平均年収が二千五百万円を超え、「奇跡の村」とも呼ばれたが、外国人実習生を除くと四千人の村は、年間数十人のペースで人口が減り続けている。

 レタス頼みでは将来像が描けない今、女性の活躍に期待する。さまざまな経歴の県外出身者がおり、新産業創出にアイデアを生かそう、という考えだ。

 村のアンケートで、生活に不満のある女性ほど子どもの数が少ない傾向が見えた。農林水産省から出向し、地方創生を担当する西尾友宏副村長(30)は「女性がやりたいことをできる村になれば子どもも増え、移住者も増える」と強調する。

 次の一手は女性の自由時間を増やすため、家事や子育てで村民同士が協力するシェアリング事業だ。国が三月に九百億円の交付先を決めた地方創生加速化交付金で、注目事例に選ばれた。

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 川上村が「地方創生の優等生」に躍り出る一方、つまずいた村もある。ほとんどの市町村の関係する事業が交付先に選ばれたが、北相木、生坂、朝日の三村は漏れた。「先駆的ではない」という理由だった。

 人口千八百人の生坂村は新規就農者を受け入れようと、特産のブドウ栽培の施設整備を計画した。農業関係者の一人は「生坂村こそ先駆的だったのに」と困惑する。国の制度に先駆けて二十年ほど前から後継者のいないブドウ園を活用し、就農者を受け入れてきた。

 少子高齢化による人口減少が進んでいる。地方創生という光に、小さな自治体は生き残りを懸けて集まり、国のサポートを心待ちにしている。長い目で見て、何が大切になってくるか、答えを必死に探している。

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