長野

<18歳選挙権を聞く>(2) 信州大准教授 荒井英治郎さん(34)

2016年6月8日

◆社会との関わり大切

 −政治や選挙について学生たちはどんな意識を持っていますか

 四月下旬、教員志望の一年生二百人以上を対象にしたアンケートをしました。「選挙に行く」と答えた学生が八割以上もいて、予想外に高くてびっくりしました。公務員志望という、比較的保守的な学生ということも考慮しなくてはいけませんが、「なぜ選挙に行くのか」と聞いたら、義務ととらえている学生が多かったです。民衆が勝ち取った権利という選挙権の意味を理解している学生は、残念ながら多くありません

 多くの学生はまじめで政治に関心があり、選挙に行くと答えます。ただ、授業で「(政治や選挙の)情報が自分にはなく、どう取得すればいいのか」という質問が出たことがあります。新聞を読み、インターネットでニュースを検索するなど、自発的に情報を得ようとする学生は少数です。学生間で触れている情報の質やレベルの格差があり、「どうしたら有益な情報を得られるのか」という教育の必要性も感じています

 −若者の政治意識の向上や投票率アップについて、解決策はあるのでしょうか

 政治活動や選挙運動以前に、学生は社会への関わりが薄いといえます。県内の過疎の村にヒアリングに行ったり、浅間温泉(松本市)の活性化など地域で活動するサークルの面倒を見ています。生身の人間と接する中で課題や疑問を見つけて、社会や政治に向き合っていければよいと考えています。学生と社会とのつながりを作ることを応援しています

 十八歳から校外での政治活動が解禁されます

 「校外」と「校内」をどこまで厳密に区分できるのか疑問を抱いています。例えば、校内で「来週、駅前であるデモに行こう」とメールやSNSで発信することもあり得ます。どこまで把握すべきなのでしょうか。プライバシーの問題もあり、法的に整理しないといけない部分が残ります

 −十八歳選挙権の意義をどう考えますか

 投票できる年齢が引き下げられたのを契機に、政党や政治家など大人が若者に向き合うきっかけになればいい。政治家も当面は(投票率の高い)高齢者の票を意識するでしょう。ただ、人口減少社会で保育園探しや待機児童問題、学校統廃合といった若い世代が抱える悩みが、これまで以上に大きな争点になってくるでしょう。既存政党や政治家の関心が、若者や子育て世代の要望や悩みに向くきっかけになればいいと思います

 <あらい・えいじろう>1981年、埼玉県越谷市生まれ。2009年から信州大に勤務し、専任講師を経て教職支援センター准教授。地域連携部門長も務める。専門は教育行政学。

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