長野

<長野選挙区情勢> (上)自民

2016年6月3日

 「参院選で一番厳しいのは沖縄。次いで長野だ」

 五月二十日夜、小諸市であった自民現職若林健太(52)の国政報告会の場に駆け付けた党幹事長代行の細田博之(72)は、表情を引き締めながらこう語った。

 支援者ら百数十人が見守る中、細田は減員区になった長野選挙区の事情に触れ「経済に明るく、地元に根ざした若林を失うわけにはいかない」と自身が率いる派閥の後輩への支援を何度も呼び掛けた。

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 長野選挙区は補選を除いて過去六回、自民と旧民主が議席を分け合ってきた。三年前の参院選で自民は旧民主に七万票の差をつけてトップ当選したが、今回は前回十五万票余りを得た共産のほか、社民も加わって民進候補を支援する「野党連合」に立ち向かわなくてはならない。

 自民にとって逆風の戦いとなるが、党本部の動きは鈍い。五月に入ってようやく、石原伸晃経済再生担当相(59)や塩崎恭久厚労相(65)らが県内に入り、てこ入れを進めている。

 一方、陣営は野党統一候補への強い危機感を抱き、動いている。五月二十八日に安曇野市であった県連大会で、陣営幹部で参院議員の吉田博美(66)は「(九年前の)再来を絶対ないようにしてもらいたい。何としても再び若林を国政へ」と声をからした。

 二〇〇七年の参院選で、旧民主に大差をつけられ、二年後の衆院選で県内の全衆院議員を失った。野党共闘の勢いが増せば参院選だけでなく、次の衆院選でも逆転の恐れのある選挙区が出てくるからだ。

 対抗策として、陣営は友党である公明との選挙協力に一歩踏み込んだ。五月には長野市や松本市など県内五カ所で、自民候補としては初めて公明の参院比例現職長沢広明(57)との合同決起集会を開いた。陣営関係者は「公明の票がなければ、土俵にすら上がれない」と事情を説明する。

 選挙戦略では共産党にアレルギーを持つ保守票の取り込みに力を入れる。若林は合同決起集会で「安保法反対だけで共闘し、理念や政策の異なる野合に議席を譲れない。共産党なんかに負けるわけにはいかない」と支持者に呼び掛けた。野党共闘に違和感を抱く、保守系の民進票の切り崩しも狙う。

 ただ、陣営の危機感とは裏腹に支援者の動きには濃淡がある。自公がそれぞれ動員をかけた合同決起集会でも、長野や松本は満員だったが、飯田、佐久は空席が目立った。

 保守系の市議は「二人区から一人区になったのに、企業回りや名簿集めなど昔の体質をそのまま続けている。ミニ集会を増やすなど直接、県民と対話する機会を増やさないと」と苦言を呈した。

 そんな中、激戦が予想される今回の選挙戦を、若林は趣味のマラソンに例えた。「最初に飛び出しても勝てない。最後の最後で抜き去ればいい」

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 通常国会が一日に閉会し、七月十日投開票の参院選モードに突入した。今回から改選数が二から一に減る長野選挙区は自民現職に、民進公認で共産、社民が支援する野党統一候補が挑む事実上の一騎打ちとなる。候補者の動きや言動から、陣営の思惑や戦略を探った。

 (文中敬称略)

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