長野

ネットで意識改革を 18歳選挙権、信大生ら議論

2016年5月30日

 「初めての選挙って、みんな不安だよね。投票用紙にどうやって書けばいいのか、手順も分からないし」。同世代の思いを代弁する男子学生の言葉に、周りの学生たちが一様にうなずいた。

 男子学生は一呼吸置いて、こう提案した。「インターネットで疑問と不安に答えて、選挙は楽しいって、投票に来てくれてありがとうって、直接伝えようよ」

 五月十八日の夕方。長野市の複合施設「権堂イーストプラザ」にある会議室は熱い議論が続いていた。信州大教育学部社会科教育コースの学生十五人と教授、市選管職員らが机を囲み、夏の参院選で投票率を上げる意見を出し合った。仕事帰りの会社員への投票PRや商店街と連携した主婦の取り込みなどアイデアは次々と飛び出した。

 しかし、一人の発言で議論は急展開する。「十八、十九歳の新しい有権者がどっと出てくるから、そこが大事なターゲットじゃないかな」

 男子学生の一人が答えを出した。「僕らのチームは、同世代の大学生に絞って投票を呼び掛けよう」

     ◇

 選挙権年齢が十八歳以上に引き下げられる参院選。昨年九月の長野市議選で教育学部がある中心市街地の二十代の投票率はわずか17・38%だった。市選管は結果を受け、若者の投票率を上げるため、大学に近いイーストプラザに新たな期日前投票所を設置する。若者を呼び込む知恵を借りようと、白羽の矢が立ったのが信州大の学生たちだ。

 学生の多くは社会科教諭を目指す二〜三年生。近い将来、中高生らに選挙や政治の仕組みを教える先生の卵たちだ。若者の低投票率に危機感がある一方、自分自身に投票の経験がないことへの不安もある。

 三年生の村松侑香さん(20)は「自分から政治に意識を向けなきゃいけないと思っていたが、今まで学ぶ機会がなかった」と正直に話した。「十八歳選挙権が始まるので、同年代の人たちに選挙の意義を発信したい」と意気込んでいる。

     ◇

 学生たちは参院選期間中、インターネットを活用して若者を選挙に呼び込む活動を計画している。指導する同学部の松本康教授(社会科教育)は「今の若者は横のつながりが強い。それが武器になる」と語る。

 一九八〇年代まで、若者が選挙に行く動機は家族や地域のつながりだった。選挙があれば若者が帰省するよう求められることもあった。国政選挙の二十代投票率は50%を超えていたが、九〇年代に入ると30%前後に急降下した。松本教授は地域の関係が薄れたことに原因があると推測する。

 男子学生の一人はこう打ち明けた。「うちも家族が面倒だと言って投票に行かなかった。そういう環境で育った若者が投票に行かなくなるのも分かる」。夏の参院選から多くの同年代が選挙権を得る。「自分たちが頑張って、選挙が面倒だという意識を変えたい」と誓った。

 (今井智文)

 <県内の若者投票率> 県選管がまとめた近年の国政選挙の県内20〜24歳の投票率(抽出集計)は2013年の参院選が33.49%、14年の衆院選が28.34%で、全年齢に比べて半分程度にとどまる。全国の20〜24歳と比べると、13年参院選は2.31ポイント高いが、14年衆院選は1.38ポイント低かった。

主な政党の公約

新聞購読のご案内