福井

SNSと選挙PR不足 候補者の投稿?知らない

2016年7月5日

 今どきの若者にとって密接な会員制交流サイト(SNS)。選挙権年齢が十八歳以上に引き下げられる参院選を前に、候補者陣営は情報発信に活用し、県選管もSNSへの投稿を見越した啓発アプリを用意するなど、力を入れ始めた。でも、本当に若者に届くの? 若者の視点から「SNSと選挙」の現状を探ってみた。

 福井市のJR福井駅西口にあるハピテラス。夕暮れ時、数人ずつの若者グループが何組もベンチに座っている。おしゃべりしながらも、多くの目線は手の中のスマートフォン。「これ、会話かみ合ってなくない?」。市内の高校に通う遥(15)と璃音(りおん)(16)は、有名人から会話のように自動返信が来るSNSの画面を見せ合って笑う。

 遥は春休み、旅先でスマートフォンを置き忘れ、一カ月近く戻ってこなかった。「やることなさすぎて、めっちゃつらかったあ」。璃音もうなずいて言う。「SNSは暇つぶしになるし、友だちとつながっていられるし、楽しいし」

 選挙権を持つ未来も近い二人。だが、SNSを活用する候補者には「どうぞご自由にって感じ」と、まるで人ごと。

 「でもいつか調べるなら、SNSかな。テレビや新聞は見ないけどLINE(ライン)のニュースはつい見てしまうし、一番情報入ってくる」

 近くに座っていた浪人生の佑太(18)と開成(18)もスマートフォンを片手に語り合っていた。ハピテラス上部の大画面では投票を呼び掛ける映像が流れ、選挙カーが大音量で近くを通る。

 「今年は勉強の方が大事だから」と佑太は選挙に興味を示さない。開成は今年だけでなく、来年からも行かないつもり。「投票というより、自分が働くことで国に貢献したい」。二人ともSNSは毎日使うが、政治や選挙関連の情報は見たことがなく、今後見る気も全くないという。「YouTube(ユーチューブ)の飛ばせない広告なら、嫌でも見るかな」

 選挙や政治に興味がある若者もいる。県明るい選挙推進青年活動隊CEPT(セプト)に今年入った大学生の鼓(つづみ)(19)は選挙や候補者を調べようと、ポスターを見たり新聞を読んだりする。

 それでも、政治家らの投稿には気付かなかった。「SNSを使っている候補者がいるなんて知らなかった。偉い人はやらないイメージだったから」。SNSは使っているが、つながっているのは面識がある友人だけだ。

 選挙啓発のビラ配りをしていても、同世代はなかなか興味を示してくれないように感じる。「ポスターにアカウント名や検索ワードを書くとか、もっとPRした方がいい」。選挙でのSNS利用が今後さらに浸透すれば、関心を引く一助になると期待している。 

 (敬称略)

 (鈴木あや)

◆双方向議論の場を

 <公民教育、社会科教育学が専門で、県明るい選挙推進協議会の委員も務める橋本康弘・福井大教育学部教授(45)> 若者が政治に興味がないのは、議論する場がないから。SNSでも一方通行の情報発信では、興味がないと見ないのは当然。政治家などと双方向で議論する道具としてうまく使えないか。SNSの活用を含め、議論の場を作っていくことが学校教育、主権者教育の果たすべき役割。地道な取り組みが必要だ。

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