福井

<課題、問う>拉致問題  解決の糸口、見つからず

2016年7月4日

写真

 北朝鮮による拉致問題に進展は見られない。政府は経済制裁をちらつかせながら、話し合いに応じるよう北朝鮮に迫るが、全面解決の糸口は依然、見つからない。

 小浜市に住む被害者の地村保志さん(61)、富貴恵さん(61)夫妻が帰国したのは二〇〇二年十月。〇四年五月には北朝鮮に残した三人の子どもたちも戻り、社会人として充実した生活を続ける。

 かつての平穏な暮らしを取り戻した地村家の人たち。市職員だった保志さんは三月、定年退職した。帰国して十四年。これまで支えてくれた市民に感謝しながらも「拉致問題に何の進展もないことが心苦しい」と市役所を去る際のあいさつの中で、自身の心境を述べた。

 四月から北朝鮮に拉致された日本人を救出する福井の会(救う会福井)の会長を務める森本信二さん(60)=同市加斗=は「横田めぐみさんら北朝鮮に拉致被害者が残っている限り、彼の心痛はいえない」と思いやる。

 地村さんが拉致されたのは一九七八(昭和五十三)年。同じころに拉致された政府認定の被害者は十二人。帰国を果たせない現状に「次世代に引き継ぐ問題ではない」(松崎晃治小浜市長)との声は上がるが、日朝交渉は空転する。

 一四年五月、北朝鮮は日本人拉致被害者の再調査をすることを表明した。これを受けて政府は制裁の一部を解除したが、結局はほごする形に。拉致の可能性を否定できない特定失踪者の問題も、日は当たらない。

 「なんも変わらへん。同じことの繰り返しや」。小浜市の特定失踪者、山下春夫さん=失踪当時(28)=の姉の大谷とみ子さん(79)=同市田烏=はいら立つ。県警が特定失踪者として捜査する行方不明者は十人。家族は高齢化し、届かない朗報に世論は盛り上がりを欠く。

 「拉致問題が争点にならないとはいえ、候補者から解決に向けた具体的な方策が聞けないのが残念だ」。救う会福井の森本さんは、拉致問題がほとんど話題に上らない参院選に不満の表情を見せる。 

 (池上浩幸)

主な政党の公約

新聞購読のご案内