福井

<共闘の裏側> 暗黙の原発争点外し

2016年7月3日

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◆福井 改選数1

 全国最多十一基の原発が立地する福井。再稼働推進派の自民現職・山崎正昭(74)はもちろん、民進、共産、社民が統一候補として推薦する無所属新人の横山龍寛(51)も「脱原発」に触れることはない。

 横山は、連合福井の事務局長。その連合傘下の電力総連と横山が結んだ政策協定書にこんな文言がある。

 「安全確認を得られたプラントは速やかに稼働するよう努める」

 電力総連は県内で組合員四千人を抱える。横山は「原発で雇用や地域経済が成り立っているところがある。原発を争点にするつもりはない」と言い切る。

 福井を含め、全国三十二の改選一人区で実現した「野党共闘」を後押しした市民連合と野党側が、中央で結んだ政策協定には「原発に依存しない社会の実現」と盛り込まれている。

 だが、横山と市民連合が結んだ政策協定からは、その文言が省かれた。

 ともに横山を推薦する民進、共産、社民は「安全保障関連法の廃止」の一点で折り合う。

 県内の共産、社民は「脱原発」を重点方針に掲げるが、民進の県連幹部は「共闘交渉のテーブルで、原発の話はしないことが暗黙の了解だった」と明かす。六月上旬に福井入りした民進幹事長の枝野幸男(52)も「長年、原発に地域経済を依存してきた現実がある」と語った。

 福井県が得る交付金や核燃料税など原発関連の収入は年三百十億円に達し、県歳入の6%を占める。高浜原発がある高浜町に至っては歳入の四割に上る。

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 共産県委員長の南秀一(66)は「安保法の撤回は国民的大義。国民、県民の声に応えるのが野党共闘だ。党として原発ゼロの訴えは続け、比例代表で脱原発の受け皿になる」と話す。

 県庁前で連日、脱原発のマイクを握り、高浜原発差し止め仮処分の申立人にも加わった石森修一郎(69)=坂井市=も「自民一強を打破することが長い目で脱原発につながる。今回は仕方がない」と渋い表情を浮かべる。

 参院選は一九九二年以来八回連続で自民が制し、衆参の現議席も自民が独占する保守王国・福井。山崎は公示日の第一声で「原発は大事なエネルギー源」と再稼働に言及したが、その後は積極的な発言は避けている。

 原発は語られぬまま、選挙戦は進む。

 (敬称略)

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