福井

<課題、問う>原発政策 一貫性ない国の将来像

2016年6月29日

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 「期限内の審査終了をお願いしたい」。原子力規制委員会が、関西電力高浜原発1、2号機(高浜町)の運転延長を認めた二十日、同じく運転延長の審査を受ける関電美浜原発3号機が立地する美浜町の山口治太郎町長のコメントには切実さがにじんでいた。背景には厳しい町財政がある。

 美浜3号機は、十一月までの審査期限内に「適合」しなければ廃炉になる。すでに1、2号機は関電が廃炉を決定。その影響で交付金や固定資産税など町の原発関連収入は二〇一六年度、八億五千万円ほど減る見込みだ。一五年度の一般会計当初予算六十八億六千万円の一割を超える額となる。原発関連の産業で働く人も多い。それだけに、町の美浜3号機への期待は大きい。

 美浜1号機は一九七〇(昭和四十五)年十一月に営業運転を始め、大阪万博に送電した。関電にとっては「加圧水型原子炉発祥の地」(八木誠社長)。以来、地元経済は原発に依存してきた。だが福島第一原発事故後、その原発の数が減った。

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 西川一誠知事も「新しい事態」と言うように、県内では日本原子力発電敦賀1号機(敦賀市)と合わせて三基の廃炉決定や四十年超運転と、これまでにない課題に直面している。原発を巡る環境は新しい時代に入った。

 本年度、経済産業省は廃炉で交付金が打ち切られる自治体に、前年度実績の八割の額を交付し、十年かけて段階的に減らしていく交付金を創設。一方、再稼働した原発には手厚く配分する。老朽原発の廃炉を促すと同時に、規制委の審査をパスした原発の再稼働は推し進めようとしている。

 だが、国の方針は必ずしも一貫していない。自民党政権は二〇一四年にエネルギー基本計画を閣議決定した。これを踏まえた「長期エネルギー需給見通し」で、経産省は三〇年度の電源構成比で原発は20〜22%と定めた。この数字を達成するためには、全ての老朽原発を運転延長しても足りない。新増設も必要と言われる。

 経産省資源エネルギー庁の日下部聡長官が、西川知事に高浜1、2号機の再稼働の要請に訪れた二十一日、報道陣に「(原発比率20〜22%)実現のためには四十年超の原発がなければ実現が難しい」と語った。だが、何基の延長運転が必要かは「仮定の話になるので、今回は差し控える」と明言しなかった。いまだ新増設への言及もない。国は目標を提示したものの、道筋まではまだ語っていない。

 (塚田真裕)

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