福井

悩む高校の先生 教育現場に困惑広がる

2016年6月19日

 選挙権年齢の引き下げで十八歳から投票できる参院選が迫り、県内高校の教諭らが主権者教育に頭を悩ませている。「政治的中立性」の観点から、個別政策の検証など政治に踏み込んだ授業はタブー視されてきたが、文部科学省は昨秋、有権者の自覚を促すには「現実の具体的な政治的事象の取り扱い」が重要と通知した。その対応について、教育現場に困惑が広がり、担当教諭らがいら立ちを募らせている。 

 「全党のマニフェスト(政権公約)を生徒に示さなければ中立性を損なうが、時間的に無理。どうすればいいのか」。県立高の教諭百二十人が集い、十日に福井市内であった指導者講習会。質疑応答ではジレンマを訴える声が上がった。

 三十代男性教諭は「社会問題を扱った授業で、生徒に意見を求められても中立のフィルターを掛けた答えしか返せなかった」と言う。

 だが、「そんなことは非現実的。親からクレームが殺到しかねない」と反論するのは、別の県立高の五十代男性教諭。「時代によって揺れ動く中立を押しつけられても…」と困惑を深める。

 中立性の問題以外にも悩みはある。私立高の四十代男性教諭は「一番の心配は選挙活動」と指摘した。LINE(ライン)やツイッターなどの会員制交流サイト(SNS)を使った強引な勧誘が、生徒間で起こっても把握は難しい。校外の選挙活動が校内に持ち込まれる懸念もある。

 一方で、県立高校の四十代女性教諭は「主権者教育が進化するチャンス。家庭との連携が鍵」とみる。ただ、「共働きだとなかなか機会はない」とも話し、中高生の子を持つ親としての悩みものぞかせた。主権者教育の在り方の模索は続く。

 (北原愛)

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