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能登半島地震特集

定点ルポ(1)被災地を歩く 輪島市門前町

ブルーシートをかけた家屋や、立ち入り禁止の店舗が残る総持寺通り商店街=石川県輪島市門前町で

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『祖父の家がこんな…』

60年続いた酒店 無残に

 能登半島が大きく揺れた三月二十五日、金沢市から取材で、石川県輪島市門前町の総持寺通り商店街に駆けつけると、信じられない光景が目に飛び込んできた。

商店街 見なれた光景一変

 「祖父の家がこんなことに…」。自宅前の通り沿いで、昨年まで営んでいた酒店は、前面ガラスが粉々に割れ、陳列棚は折り重なるようにしてすべて倒れていた。建物自体も平行四辺形にひずんでいる。マスコミが次々に撮影し、リポーターが被害の大きさを語る。言い知れない寂しさに、全身が包まれた。

 祖父のひざに座って店番をした店舗、祖母に手を引かれて「怖い顔だなあ」と見上げた総持寺の仏像、洋服やおもちゃを買ってもらった商店街。子どものころから見慣れた光景が、想像も付かない姿に変わっていた。

 注 住宅の損壊状況は記者が歩いて聞き取り調査した結果による。家人不在などは不明とした。

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 あれから何度も商店街に通った。店主らに話を聞くと、みんなが「商店街、そして門前の復興」を願っている。ただ、住民の流出が心配という。「でも、商売をしないと食べていけない。また、お客さんに帰ってきてもらわないとね」。努めて明るく振る舞う姿に心を打たれた。

 輪島市内の病院に入院中で、地震の難を逃れた祖父も「怖かったよ」と神妙な顔で振り返った。その祖父は四月末、九十歳の生涯を閉じた。戦後約六十年続いた店舗の解体が始まった、その日のことだった。 (報道部・泉竜太郎)

    ◇

 最大震度6強に見舞われ、甚大な被害が広がった能登半島地震。五月十三日で丸五十日となる。人々のきずなが深い住宅地や商店街の暮らしはどう変わるのか。被災地五地点を定点に選び、今後もウオッチングしていく。震災の傷跡が今も随所に残る五地点を記者が歩いた。

 

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