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北陸中日懇話会

日ロ関係の新局面注視 防衛研究所地域研究部長の兵頭さん

日ロ関係やそれを取り巻く各国の情勢などについて話す兵頭慎治さん=11日、金沢市の金沢東急ホテルで

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 北陸中日懇話会の十月例会は十一日、金沢市内であり、防衛省防衛研究所の地域研究部長兵頭(ひょうどう)慎治さん(51)が「激変する東アジア情勢と日ロ関係の行方」と題して講演した。安全保障面から見た両国関係の局面を語った。(前口憲幸)

【講演要旨】 

 日本の国際環境は戦後最悪と言える。北朝鮮による核ミサイルへの脅威が増し、中国の不透明な軍事力伸長、海洋進出の問題もある。米国は自国第一主義を掲げ、同盟国を軽視する。

 韓国の反日感情も深刻だ。徴用工や慰安婦の問題、海上自衛隊へのレーダー照射、貿易面の対立も。極め付きは八月、GSOMIA(ジーソミア)と称される日韓の軍事情報共有の協定を韓国が破棄。米国の同盟国として協調し、北朝鮮問題に取り組むべきなのに。

 二〇一九年六月、ロシア軍機の領空侵犯があった。実に四年ぶりだ。日本海を南下し、沖縄へ。一時間半後には八丈島を侵犯した。大阪G20サミット直前で大ごとにしなかったが、七月に別の領空侵犯が起きた。

 竹島だ。日韓が領有権を巡って争う島にロシア軍機が侵犯する事態は東アジアに強烈なインパクトを与えた。しかもロシア軍機は中国と初の共同フライトの最中。政治的、軍事的な影響は大きく、韓国の戦闘機はスクランブル発進し、三百六十発の警告射撃をした。

 ロシアの狙いは日韓だけでない。米国もだ。当日はボルトン大統領補佐官(当時)が来日中で次の訪問先の韓国に向かうタイミング。日米韓の安全保障連携にくさびを打つ狙いだった。

 先日、能登半島沖で水産庁の船と北朝鮮の漁船が衝突した。問題は日本の排他的経済水域(EEZ)、大和堆(たい)でのイカ漁。金正恩朝鮮労働党委員長は水産業を重視し、漁獲高を求める。一方、ロシアは北朝鮮の船に対する取り締まりを強化。乗組員の拿捕(だほ)や拘束、銃撃もやる。ロシア国境警備員はほぼ軍隊だから、対応は厳しい。これが大和堆に北朝鮮の漁船が流れる原因の一つになっている。

 千島列島のロシア基地は国後島と択捉島だけ。ロシア軍の約三千五百人が駐留する。北方四島の総面積は約五千平方キロメートル。石川県より大きい。かつて平和条約締結をはじめ、北方領土問題は経済や資源の話が先行した。しかし、近年はロシアから積極的な安全保障の問題が出る。島を日本に渡すと、米軍駐留の可能性があるのか−。これを最も懸念している。

 研究者としての個人的な見解だが、色丹と歯舞群の二島はロシアが引き渡す選択肢を持っていると思う。この二つの島に米軍が入ることが絶対にないよう、交渉してくる可能性はある。

 東アジア情勢が激動する中、ロシアは難しい国と言える。どんな距離感で付き合うか。全体を広く見渡し、考えていく必要がある。

  ◇     ◇     ◇ 

 次回は十一月二十五日午前十時半から、社会学者の上野千鶴子さん(富山県生まれ、金沢二水高卒)を迎え、金沢市のホテル金沢で開く。問い合わせは、懇話会事務局=電076(233)4643=へ。

 

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