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「行って良かった」思える場所に

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 職場の歓送迎会シーズンの春、ひそかにため息をつく人たちがいる。「飲み会、行きたくない…」。近年、若い世代を中心に職場の酒席の苦手意識が広まっている。どうすれば嫌な思いをする人を減らせるのか。新型コロナウイルスで大人数の宴会自粛が続く中、これからの飲み方を考えるウェブメディア「飲み方改革」でヒントを探った。(堀井聡子)

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◇お酒なしの食事会も ◇普段の「雑談」大事に ◇上司からは誘わない

 ウェブサイトでは二〇一八年から、飲み会について先進的な取り組みをする企業の紹介や、意識調査をしている。立ち上げたのは神戸市の健康食品メーカー「青粒(あおつぶ)」。自社商品でウェブメディアと同名の二日酔い対策サプリのPRと、「体も心も健康に楽しく飲んでほしい」という永原豊大(ほうだい)社長(36)の思いから、新しい飲み会のあり方を発信している。

 ウェブを運営する同市のデザイン会社「宣伝ファクトリー」の井沢博さん(54)は「世の中の飲み会は課題だらけ」と断言し、嫌われる四つの理由を挙げた。

 (1)「時間の無駄」。二次会、三次会と続けば、仕事と変わらないほど長時間拘束されてしまう。

 (2)「セクハラやパワハラ」。特にセクハラが減っていないと感じる。

 (3)「お酒が飲めない」。とりあえずビールという時代は終わり、むしろお酒を飲まない流れも来ている。

 (4)「会社の人と深く関わりたくない」。プライベートを知られたくないと考える人もいる。

 青粒では社内の交流を工夫している。例えば、社長と社員が年一回、数人で集まる食事会。飲み会に限らず、モーニングやランチ、スイーツの中から社員が選べる。一方的に社長が話すのではなく、社員の話を聞くことが目的だ。部署の交流を促すため、年八回まで三部署以上の人と飲み会を開くと、一人につき一回千円支給される「831(やさい)会」制度もある。

 永原盟千(めいせん)取締役(34)は「社員一人一人にスポットを当てることが大切。就業時間外にやるなら、行って良かったと思える会にしないと」と話す。豊大社長は「お客さまも社員も、その人が本当に何を求めているのか知らないと寄り添えない」とコミュニケーションの重要さを説いた。

 他にどんな工夫が考えられるか。井沢さんは「飲み会の時間を短くすることや、上司から部下を誘わないこと。幹事を若手にやらせることは『それは自分の仕事なのか』と納得しないので、やめた方がいい」。

 大人数で集まり、何軒も店をはしごするだけが飲み会ではない。そんなやり方が新型コロナで自粛されている今こそ、立ち止まって見直す機会になりそうだ。

 宴会のストレスを減らす鍵は「普段から言いたいことを言える関係か」にあるという。井沢さんによると、トップダウン型の会社は飲み会を嫌う人が、上司と部下の立場がフラットな会社は好きな人がそれぞれ多い傾向という。「楽しく飲んでいる企業は、雑談を大切にしている所が多い。雑談の究極の形が飲み会なんだと思います」

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若いほど「ストレス」

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 リクルートライフスタイル(東京都)の調査研究機関「ホットペッパーグルメ外食総研」が二〇一七年に、職場の飲み会へのイメージを尋ねたアンケート(選択式、複数回答)によると、「気を遣い、くつろげない」「かえってストレスがたまる」とネガティブな印象を答えた人は、男女ともおおむね年代が若いほど多かった。

 特に二十〜三十代の女性は、「気を遣い、くつろげない」と答えた人が約半数いた。

 回答者全体では、ネガティブなイメージが多い順に「気を遣い、くつろげない」38・7%、「かえってストレスがたまる」28・9%、「プライベートな時間が削られる」25・2%。

 ポジティブなイメージは、「普段会話しない人と会話できる」37・8%、「職場の雰囲気が良くなる」30・0%、「上司、同僚、部下の人物理解が進む」27・9%だった。

〜ほりいの深ぼり〜

 入社1年目で配属された部署では、飲み会が朝方近くまで続くこともありました。お酒は好きですが気を配ることも多く、あるとき2次会に行くのが嫌だった私は、次の店に移る途中でだんだん列の後ろに下がり、道端の野良猫に「猫ちゃ〜ん」と戯れて列から外れ、皆がいなくなったのを見計らってこっそり帰ったことがありました。苦手という気持ちも分かります。

 飲み方改革は、働き方改革とも言えそうです。飲み会を通して、職場の働き方を見直すきっかけにしてはいかがでしょうか。

 

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