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style自由 はずむlife 北陸でも浸透「都市型」スポーツ

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 街中発祥の新しいスポーツ「アーバン(都市型)スポーツ」が人気だ。特に「スケートボード」と自転車競技「BMXフリースタイル」は、2020年の東京五輪から新種目に採用されたことで注目を集めている。競技にとどまらず、音楽やファッションなどライフスタイルと結びついているのも魅力。北陸のプレーヤーはどんな楽しみ方をしているの? 石川、富山の3人を紹介する。 (堀井聡子) 

大人顔負け いつか五輪に

全国2位富山市の中学生 中山楓奈(ふうな)さん(13)

 きゃしゃな体で宙を舞い、くるりと一回転させたスケートボードの上に着地を決めると、滑りに来ていた大人たちとハイタッチした。「友達と一緒に練習するのが楽しい」。一緒に滑れば、大人も子どもも関係なく仲間になれる。

 父親に誘われ、小学三年生のときに初めて滑った。「スケボーで鬼ごっこするのが好きだった」。県内のスケートボード教室に通うようになり、次々に技を覚えた。今は毎日練習を欠かさない。「ふうちゃん」と呼んで技を教えてくれるのは、すっかり常連になったスポーツ施設で仲良くなった十、二十歳年上のお兄さんたち。めきめきと腕を上げ、六年生からストリート種目の全国大会に出場するようになった。

 二月に東京で行われた「日本オープン・ストリート選手権」では女子の部で準優勝。「いつかオリンピックに出てみたい」。学校にスケートボードをやっている友人はいないけど、全国の選手たちがライバルだ。

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営業マン オフに喝采

金沢市 会社員 中川龍哉(たつや)さん(25)

 「もう一回」。時には転び、バランスを崩しながら、階段の手すりに見立てた金属のレールの上を何度も滑り降りる。スケートボードの先端裏をレールに乗せて滑る「オーバーK」を見事決めると拍手が湧き、「中川さん、格好良いっす」と駆け寄った男の子と、笑顔で拳を突き合わせた。

 友人に誘われて高校一年生の時に始めた。サッカー部だったが、それ以上にのめり込んだのはスケートボードだった。一度はヘルニアで腰を痛めて手術をしたが、「一つの技を覚えるのってすごく時間がかかるけど、成功したときの達成感がやめられない」という。

 今は営業マンとして働くかたわら、金沢市のスポーツ用品販売店「ムラサキスポーツ金沢フォーラス店」のサポートを受ける。休日や仕事終わりに、IRいしかわ鉄道東金沢駅そばの公営パークなどで練習している。「上下関係なく、年が違う人とも滑れるのが面白い。県外の人との出会いも刺激になりますね」

スケートボード 日本では70年代ブームに

 1940年代に、米国で木の板に小さな車輪を付けて滑った遊びが始まりとされている。日本では70年代にブームが到来した。東京五輪では、階段や手すりなど街中に見立てたコースを滑る「ストリート」と、深皿のように湾曲したコースを滑る「パーク」の2種目を採用。「トリック」と呼ばれる技の難易度やジャンプの高さなどを採点する。

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動画配信 世界とつながる

高岡市 スポーツ施設職員 老松(おいまつ)一瑛(かずえい)さん(24)

 平らな地面なんてつまらない。斜面や細いレールの上を自在に駆け抜ける。「大会の功績よりどれだけ格好良いかが重要」。技を繰り出す動画をSNSにアップして国内外のBMXライダーとつながる。

 ママチャリを乗り回していた中学時代、古いBMX用自転車を積んだ廃品回収のトラックが走り去るのを見た。「五百メートルくらい走って追い掛けたら、運転手にあきれられた」と笑って懐かしむ。自転車を引き取って修理した。公園で黙々と練習し、高校で自転車同好会を作ったが、メンバーは自分一人だった。

 街に出て仲間に出会い、映像作品を撮り始めた。音楽を付け、たった二秒のシーンのために三時間撮り直すこともある。今では動画を見た米国のBMXブランドがスポンサーに付くようになった。「競技とは違った楽しみ方もある。もっとライダー同士をつなげたい。だって一人でこけても技を成功させても、つまらないじゃないですか」

 「本当は街中で滑りたい」という本音を聞いた。街中発祥のスポーツだが、ブレーキが付いていないBMXが公道を走るのは道交法で禁止されており、スケートボードは公共物などの器物損壊に問われる恐れもある。

 「コンクリートばかりで滑っても、音が楽しくないんです」と高橋会長。タイルや金属など、車輪が当たる物が変われば音も変わる。「公園や街中をリアルに再現したパークがあれば」。道のりは長いが、競技人口は増えつつある。いろいろな楽しみ方ができるよう、パークの姿も変わるかもしれない。

 スケートボードやBMXが東京五輪の正式種目に採用された背景には、若者のスポーツ離れがある。アーバンスポーツの大会では野外フェスのようにDJの音楽が流れ、ダイナミックな技を間近に観戦できるのが特徴。エンターテインメント性のある種目を取り入れることで、スポーツに関心を持ってもらう狙いだ。

BMX 北京から五輪種目に

 バイシクル・モトクロスの略。1982年の映画「E.T」で、主人公が自転車に乗って空を駆けるシーンに使われ、知名度が上がった。急斜面や起伏のあるコースで順位を競う「レース」が北京五輪から採用。東京五輪から、技の難易度や独創性を競う「フリースタイル」のうち、街中に見立てたコースを走る種目「パーク」が新たに採用された。

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富山に国内最大級拠点

NIXSスポーツアカデミー

 「スケートボードやBMX教室に通う子どもが増えてきた」と富山市アクティブスポーツ協会の高橋亮会長(41)は、五輪効果を実感している。協会では月一回、スケートボード、BMX、インラインスケートの教室を開催。「以前は親が経験者の場合が多かったが、最近は未経験の親が子どもを通わせることも多い」。野球やサッカーのように一般的なスポーツとして浸透しつつある。

 北陸での盛り上がりに一役買っているのが、同市のスポーツ施設「NIXS(ニックス)スポーツアカデミー」だ。二〇一四年五月に開業し、国内最大級のスケートパークが売り。石川、富山を中心に県外からも滑りに来る。中山さんがスケートボードを始めたのも開業がきっかけだった。

 競技として技を磨く子どもや、映像という作品づくりに熱中する若者。さまざまな側面を楽しめるのがアーバンスポーツだ。高橋会長は「パークや街中に出れば、全然知らない人とも仲良くなれる。さらに上手な子が出てきて、大人の自分たち以上の技を見せてくれるのが楽しみ。もっとドキドキしたい」。

ほりいの深ほり

 「本当は街中で滑りたい」という本音を聞いた。街中発祥のスポーツだが、ブレーキが付いていないBMXが公道を走るのは道交法で禁止されており、スケートボードは公共物などの器物損壊に問われる恐れもある。

 「コンクリートばかりで滑っても、音が楽しくないんです」と高橋会長。タイルや金属など、車輪が当たる物が変われば音も変わる。「公園や街中をリアルに再現したパークがあれば」。道のりは長いが、競技人口は増えつつある。いろいろな楽しみ方ができるよう、パークの姿も変わるかもしれない。

 

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