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整形という選択 隠さない 相談・情報共有アプリ開発の大学生 川井優恵乃さん(23)

美容整形SNSアプリ「Meily」を運営し、自身の体験も発信する川井優恵乃さん=東京都千代田区で

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 美を追い求める手段の一つ、美容整形。近年、若い女性を中心に、整形した経験を発信する人が増えてきた。ツイッターでは、自分の整形過程を紹介する「整形アカウント(整形アカ)」も登場している。彼女たちはなぜ整形し、それを明かすのか。公表した一人で、四百三十三万円かけて顔を整形し、美容整形の情報共有アプリ「Meily(メイリー)」を一年前に開発した大学生、川井優恵乃さん(23)に話を聞いた。(堀井聡子)

バイトで貯金「強みだと思って公表」

まぶたを二重に整形した大学2年のころの川井優恵乃さん=本人提供

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 どうしてアプリを作ったんですか。

 三年前にあごの手術をしたとき、二カ月腫れが引かなかったんです。マスクを付けて生活して、あまり人と会わないようにしていて。相談できる人もいなくてずっと不安でした。経験者と話せたら安心できたと思います。

 美容整形の情報を交換して、質問や悩みに答えてくれるコミュニティーを作りたい。昨年十一月に起業し、アプリを開発しました。整形の体験談や病院の口コミ、他の利用者への質問が投稿できます。利用者は二十代前半が多いです。経験者だけでなく「親に反対されたけど、どうしたらいい」と整形に踏み出そうか迷っている人もいます。

 ご自身も顔を美容整形していますね。

 四百三十三万円かかりました。レクサスが買えますね。大学一年の時に両まぶたを二重にしたのが最初です。費用はアルバイトしてためました。

 小学生の時、かわいい友人と一緒にいると、その子ばかり「かわいい」と褒められ、「自分の存在感がないな」と感じていました。

 高校で、お化粧やおしゃれをして頑張ってみたんです。最初は「自分かわいい」とテンション上がりました。でも、かわいい子と原宿に行ったら、その子だけ美容室のモデルにスカウトされ、「やっぱり私ってブサイクなんだ」と再確認しました。お化粧しても、かわいい子には勝てない。大学に入ったら絶対整形すると決めていました。

 なぜ整形を公表しているんですか。

 起業することになり、自分が整形していることが強みだと思って、公表することに。三年前からツイッターの整形アカでも体験をつぶやいています。

 ここ一〜二年で整形アカはすごく増え、情報交換しやすくなりました。整形前後の写真を投稿する人も増えました。話題性があるからですかね。「ビフォーアフター」の写真を投稿した知人に理由を聞くと「自分が一番頑張ったのは整形だから、言いたい」と言っていました。

「かわいく見られたい」より「自己満足」

 整形を知った周囲の反応は。

 元から家族、仲のいい友人には言っていました。整形するとき、初めは母に反対されましたが、「美人なお母さんに私の気持ちは分からない。お金は自分でためる」と言って認めてもらい、病院にも付き添ってくれるようになりました。

 整形を知る前は、友人たちに「やせてきれいになった?」「何だか変わった?」と聞かれていました。整形だったと知り「そういうことだったの」と納得。私の周りにはあまり整形を否定する人はいません。むしろ「私も二重にしたい」と相談されたり、「実は私もやっているんだ」と打ち明けられたりしました。

 整形したい若い女性が増えたのでしょうか。

 最近は、普通やちょっとかわいい子でも、もっとかわいくなるためにやる人が多い気がします。インスタグラムなどで他人と顔を比べやすい環境だからでは。高校生からも「整形したい」と相談を受けます。「他人にかわいく見られたい」というより、「鏡で自分を見る度に自分をブサイクだと思いたくない」という人が多い。自己満足なんです。私もそう。

 ただ、簡単に「骨を切っちゃえ」と、整形を割と気楽に考える人も増えた気がします。それは最終手段。骨は削ったら元に戻らないので、よく考えてほしい。一億円かけても女優の佐々木希さんにはなれない。整形は魔法じゃありません。お金をため、情報を集め、病院を回りカウンセリングして、手術して、それでも完璧にできるか分からない。失敗することもある。私はあごに少ししびれが残っています。

失敗も経験「整形は魔法じゃない」

 最近は韓国で手術する人も多いそうですね。

 値段が安いのと、韓国では整形した人が多いので、手術後に包帯を巻いたまま買い物してもジロジロ見られないんです。現地に専属の日本語通訳がいる病院もあります。手術して、ダウンタイム(整形後に腫れが引くまでの回復期間)まで現地で過ごします。私も韓国で鼻を手術し、二週間いました。夏休みに韓国で整形して帰る学生もいます。

 ツイッターなどで、韓国に整形に行く人がいないか呼び掛け、一緒に現地でご飯を食べることもあります。同じ時期に行っている人は、結構いますね。

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 川井さんの整形のゴールは。

 整形した今も自分の写真を加工しているので、加工しなくなったらやめようと思っています。私は結構大きい整形をしたので、これ以上あまり変わりようがなく、今後整形するとしても微調整くらい。レーザー治療などで肌をきれいにすることにお金をかけたい。でも年を取ったら、アンチエイジングのために手術したくなると思います。

 今まで、自分のコンプレックスを一つずつ減らすように整形してきました。理想の自分に近づき、前より自分に自信が持てるようになりました。整形前は似合わなかったおしゃれな服を着たり、化粧をしたりするのも前より楽しい。美容整形は、自己実現の一つの手段だと思っています。

 かわい・ゆえの 1995年生まれ。中央大4年の2017年、アプリの運営会社「Meily」を起業した。アプリと社名は、中国語で「美しい」を意味する言葉から取った。大学は休学中。

若者の施術増、背景にSNS トラブルや死亡事故も

 「ここ10年で、10代、20代で美容整形を受ける人は20倍近く増えた」。全国で美容整形外科「湘南美容クリニック」など83医院を展開するSBCメディカルグループの富田聡さん(46)は明かす。「親からもらった体にメスを入れるのか」という言葉があるが、「今は、せっかく生まれたならきれいな顔で幸せな方がいいという感覚では」。

5月の整形シンデレラオーディションでグランプリに輝き、賞金を手にする女性(左)=東京・幕張メッセで(SBCグループ提供)

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 会員制交流サイト(SNS)の普及も背景にあると指摘する。撮った写真をネットに気軽に投稿できる時代。「写真を通し、自分の顔と向き合うことになる。写真に『いいね』のボタンが押され、評価される。知らない人から『ブサイク』と書かれることもある」

 美容整形を巡るトラブルは依然起きている。

 昨年2月には名古屋市で豊胸手術を受けた女性が死亡。国民生活センターによると、脱毛や豊胸など美容医療に関する相談が、全国の消費生活センターに2017年は1875件寄せられた。中でも「術前後の写真を見て契約したが効果が無い」などウェブ広告を見て受診した人の相談が増えている。

 美容整形する際は▽幅広い情報を集めて検討すること▽施術内容やリスクについて医師から十分説明を受けること▽説明に納得できなければその場で契約しないこと−などが必要だ。

 「整形した後の人生がスタート。整形がゴールではない」と話す富田さんは、同グループが整形で人生を変えたい女性を応援するコンテスト「整形シンデレラオーディション」の企画者だ。16〜30歳の女性を対象に、審査を通過した人たちの整形費用を全額負担。2016年から毎年開催し、毎回200人ほど応募がある。海外でも募集した昨年は約500人が応募した。

 来院する20代は整形した人が身近にいることが多く「整形が、美しくなる手段の選択肢として認識されてきた」。その上で「失敗して後悔しても、元には戻らない。他人に言われて整形するのではなく、自分が決めて責任を持って整形してほしい」と強調した。

ほりいの深ほり

 これからも美容整形を続けるつもりの川井さん。取材中、こんな本音もこぼしていました。「手術した後はいつも『もう二度とやるか』と思います」。全身麻酔した後は、吐き気で何もできない。鼻の骨を削った時はひどく腫れ、すごく痛くてつらかったそうです。「でも、得た物は大きいから。私は、整形してよかったと思っています」

 どんな人生を選んでも、「これさえすれば絶対幸せ」という生き方はない。大切なのは、その人の意志なのだと思いました。

 

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