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【石川】仏の教え 音楽で説く 小松の僧侶姉妹 法話ライブ

寺離れ憂え 心に響く活動

 石川県小松市の西照寺僧侶、日野直(すなお)さん(47)と史(ふみ)さん(44)姉妹が、仏教の教えを音楽で伝える「法話ライブ」を開いている。堅苦しく、時に敬遠されがちな法話も、曲と詞による仏教賛歌なら自然と胸を打つ。史さんは「音楽に乗せるからこそ、響く言葉がある。仏教離れが進む中で、若い人にも聞いてほしい」と願う。(青山直樹)

キーボードを演奏する日野直さん(左)と、澄んだ歌声を響かせる史さん=10月25日、石川県小松市で(青山直樹撮影)

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 澄んだ歌声とキーボードの優しい音色が、本堂に響く。真宗大谷派の古刹(こさつ)、西照寺。十月二十五日にあった親鸞聖人をしのぶ報恩講には、門徒ら約三十人が集まった。直さんがキーボード、史さんがボーカルを担当。命の尊さを伝える仏教賛歌「今、いのちに目覚めるとき」などで教えを説いた。

 「あなたはあなたでよいのだと 気づいたときから生きられる このかけがえのない私に いのちが今、きらめく」

 「今、いのちに〜」は二〇一一年、親鸞聖人の七百五十回忌の際に作られたバラード調の曲だ。姉妹のお気に入りで、寺や老人ホームでのライブでは決まって歌う。「仏教の教えを分かりやすく“翻訳”した曲」と史さん。古くからある仏教賛歌「みほとけは」なども演奏し、檀家(だんか)の吉村小夜子さん(75)=同県能美市=は「音楽を通して、楽しく仏教のことが分かる。心が温かくなる」とほほ笑む。

 直さんは幼少期からピアノに親しみ、絶対音感がある。史さんも学生時代はライブ活動に取り組んだ。二人は一三年に音楽ユニット「ひのう姉妹」を結成。実家の寺の本堂で毎夏、他のバンドと音楽イベント「夕焼けライブ」を開いてきた。法話ライブを始めたのは三年前だ。

 史さんは「寺離れや仏教離れが進んでいる。どうすれば興味を持ってもらえるか。考えた時に出てきたのが音楽だった」。仏教賛歌は明治以降に作られ、数多くあるが、実際に歌う僧侶は少ない。「音楽に乗せると、言葉も記憶に残りやすい」と直さん。今では異色のライブを目当てに、門徒以外の人も法話や報恩講に訪れる。

 姉妹はともに、二人の子を持つシングルマザーだ。夫からドメスティックバイオレンス(DV)を受けて一三年に離婚した史さんは「DVを受けて、自分なんかいなくてもいい存在と思った。そんな時に『今、いのちに〜』の歌詞が救いになった」。過酷な経験をしたからこそ、実感がこもる。「生きにくさを感じている若い人たちに、きっと響く言葉があるはず」

信者、僧侶 減る一方

 文化庁の宗教年鑑によると、2017年末時点の仏教の主要10宗派の僧侶数は、約9万1000人で、そのうち女性はおそよ1割の約9500人。10年前と比べると全体で5000人、女性は800人減っている。

 信者数は17年が8530万人。1990年の9630万人をピークに年々減少している。寺院数は約7万7000で、50年代からほぼ変わっていない。ただ主要宗派などが加盟する全日本仏教会(東京)によると、住職がいなかったり、他の寺院の住職が兼務したりする「空き寺」が増えている。

 仏教会の広報担当者は「収入源となる檀家や葬儀と法事の回数の減少が影響している。寺の経営では生活できず、後継者がいなくなる場合もある」と話す。

 

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