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イカリモンハンミョウ 遺伝的多様性ピンチ

本州で生息は県内のみ 絶滅危惧種

本州で唯一、石川県に生息するイカリモンハンミョウ=同県志賀町の甘田海岸で(嶋田敬介さん撮影、提供)

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 本州では石川県内だけに生息する絶滅危惧種の昆虫イカリモンハンミョウについて、3種類確認されていたDNAタイプ(遺伝子型)が最新の調査で1種類しか確認されなかったことが分かった。生息する砂浜の地形変化などが原因とみられる。研究チームは「遺伝的多様性が失われると、絶滅の危険性は高くなる」と指摘する。(辻渕智之)

 調査したのは、県立自然史資料館の嶋田敬介学芸員(35)や県立大の上田哲行名誉教授(69)らの研究チーム。二〇一六〜一七年に生息地である羽咋市と志賀町の砂浜で二十八匹を採集し、遺伝子の塩基配列の型(ハプロタイプ)を解析した。その結果、同一の型しか確認されず、上田名誉教授らが一九九九年に採集した十三匹から検出した別の二つの型は確認できなかった。

 嶋田氏は「遺伝的多様性は環境変化への抵抗性や繁殖力に大きく影響する。多様性が減少すると絶滅の可能性が高くなる。今後も動向に注意を払っていく必要がある」と話す。

砂浜変化、一時激減…DNA型3→1種に

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 イカリモンハンミョウは体長一・五センチほどで、背面にイカリ状の模様がある。かつて金沢市から志賀町にかけて広く見られたが、今は羽咋市と志賀町の約三キロの砂浜だけに生息する。目撃数は一三年に約三百匹まで減少。その後、増加に転じて昨年は約四千匹が確認された。県内の個体数は回復傾向にあるという。

 DNAタイプが一つに減った原因について、研究チームは一三年まで続いた「個体数の激減にある」とみる。個体数の減少は生息する砂浜の地形変化が要因。手取川ダムの完成(八〇年)などで、白山や手取川から能登半島の西海岸へ流れ着く砂が減ったことも影響しているという。

 地元住民や有識者らは地元の羽咋市と志賀町に加え、石川県の協力を得て保全に取り組んでいる。

 上田名誉教授は「イカリモンハンミョウは粒が細かくて表面が凸凹し、保水力のある広くて平らな砂浜で生きている。その砂浜は白山、手取川、日本海の波風、能登半島という県内の自然環境が絶妙な加減で奇跡的に作り出した。彼らを守ることは私たちの環境を守ることになる」と話している。

【イカリモンハンミョウ】 体は流線型で細長い足を持つ。砂浜に生息し、主にハマトビムシを食べる。環境省レッドリストで、近い将来に野生で絶滅の危険性が高い絶滅危惧IB類に指定。国内では石川と九州の大分、宮崎、鹿児島県に分布。石川の個体群は九州や外国のものと数十万年前から交流がなく独自の進化を遂げてきたと考えられる。

 

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