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産婦人科医 政治で命救う 県議初当選 種部恭子さん

性暴力や虐待の根絶などを訴え、県議選で当選した新人の種部恭子さん=富山市根塚町で(向川原悠吾撮影)

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貧困、性暴力…診察経験生かす

 統一地方選の富山県議選で、富山市第1選挙区から出馬し、当選した唯一の女性新人種部恭子さん(54)。産婦人科医として貧困や虐待、ドメスティックバイオレンス(DV)、性暴力に苦しむ女性を診てきた経験から「医療で救えない命を政治の力で救いたい」と意気込む。議会改革にも意欲的で「議会の女性はまだマイノリティー。いろんな人が出てきてほしい」と訴える。(向川原悠吾)

 県内の病院で十五年近く働き、女性向けクリニック「We!TOYAMA」(富山市根塚町)を二〇〇六年に開業。これまで、女性が直面する悩みの多くが社会問題とつながっている現状を見てきた。

 家族から性的虐待を受けた子どもの家庭には、母親へのDVが常態化していた。家庭が崩壊するのを恐れ、被害を訴えられずに泣き寝入りしてしまう子どもに胸を痛めた。

 客から性暴力を受けても風俗店で働き続ける女性を診たこともある。ひとり親で困窮していた生活から、店をやめられなかった。「風俗で働くから仕方ない」という声には、抜けられない貧困を知るからこそ「子どもと時間をつくるためにしていることがそんなに悪いか」と憤った。

 出産後の孤独から産後うつとなり、自ら命を絶った人も。ぬくもりを求めて会員制交流サイト(SNS)で出会いを見つけ、そこで性暴力に遭う人もいた。

 「命に関わる生きづらさを抱えている人はたくさんいる」。カウンセリングだけでは解決できない問題が、県議への道に突き動かした。

 対策として訴えるのは、被害者や貧困層が社会復帰できるまでいられる長期的な保護施設や、加害者の更生支援の整備など。他にも、心と体の性が合わないトランスジェンダーの子どもにとっての制服問題は「急務」と訴える。「一医師では知ることができなかったことを、これから県議として調べられる。人命のために自分の肌感覚を生かしていきたい」と意気込む。

 議会改革の必要性も強調する。改選後、女性県議は一人増えて四人となるが、それでも全体の一割。男性社会が現状の政治が多様化することを願う。

 選挙戦では、慣例的にされていたことを見直した。「女性の感覚とずれている」と、必勝はちまきや票集めの土下座はせず、個人演説会では託児所を設けて親子が来やすいようにした。

 「議会には子育て中のパパとかママとか、いろんな人がいないと、市民は置いていかれる」と改革に力を入れていく方針だ。

 「政治って生活なんだと感じることがまず必要。そして、問題を解決するために政治家になるという選択が出てくるようになれば」と考えている。

 

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