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画中日記

能登へ 7 海の玄関口 再興の日は

写真

 ×某月某日

 カウンセリングルームを主宰するライターあねざきしょうこさんから、御丁寧なお手紙と共に小冊子『加賀棒茶物語・動橋第七十八号 二〇一四年春』(丸八製茶場)が送られてきた。川を歩くシリーズの五回目が「金川橋梁(きょうりょう)」だった。

 この川は、ぼくが生まれて育った能登半島の先端の石川県珠洲市正院町と熊谷町の境界をつくりながら日本海へと流れ込んでいる。そこには、写真もそえられていて今は廃線になってしまった「のと鉄道能登線」の橋梁が僅(わず)かに、昔の姿を残して静かに横たわっている。

 あねざきさんは、その中で、

 −十数年前、珠洲までの鉄道を利用して地元の高校に講演に来たことを思い出した。校長先生は「田舎で純朴に育った子たちです。都会に出て行く生徒たちがトラブルに巻き込まれないように実践的な指導を」とおっしゃった。地域全体が家族のような土地柄だ。親心から出た言葉だろう。複数あった高校はその後統合され、電車通学も過去の思い出となった。

 岬を巡るたびに思う。珠洲は海の向こうの大陸に開かれていると。鉄道の歴史はわずか数十年で途絶えた。しかし私に半島に埋もれている何かがいつの日にか再興するときがやって来るような気がする。−

 前段の高校の一つにぼくは通っていて、高校三年生の時に能登線が開通した。校舎の窓から工事の進捗(しんちょく)状況ばかりを見ていて、勉学に勤(いそ)しんだ記憶はないが、待ちこがれていた珠洲駅での式典の日のことは、鮮やかに覚えている。

 後段の、大陸に開かれている説には何の異論もない。半島は、陸のどん詰まりではあるが、海の玄関口でもある。

 ぼくには、風聞のような情報しかないが、来春奥能登を舞台にしたNHKの朝の連続ドラマが放映されるという。何かが変り、何かが始まろうとしているのかもしれない。

 

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