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画中日記

能登へ 4 母なる大地への思い

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 ×某月某日

 東京からのお客さまをお待ちしていた石川近代文学館「てのひら文学館−西のぼる さし絵原画展」の第一企画展示室で、二〇一一年三月十一日十四時四十六分十八秒、東北地方太平洋沖を震央とする東日本大震災で、犠牲になられた方々に館内放送に合わせて一分間の黙とうを捧(ささ)げる。その間、脳裏をさまざまな思いが叢雲(むらくも)のごとくに湧き上がり、やがて静かに消えていった。

 一九九三年二月七日二十二時二十七分、能登半島、石川県珠洲市沖でマグニチュード6・6、最大震度5の直下型地震が発生し、輪島市では高さ二十六センチの津波が観測された、この数日後に私は車で在所のある珠洲市に向かった。生家は新築直後で無傷だったが、隣家は被害を受けられていて他にも土蔵が全壊したり半壊した家屋などもあり、その凄(すさ)まじいまでの自然の持つエネルギーに衝撃を受けた。震源に近い禄剛崎の山腹から珠洲市街の方向を望むと海岸線に沿ってどこまでも続く国道と家並みが、私の胸を詰まらせその後、一編の詩を屹立(きつりつ)させた。

 すぎた時間はふしぎ

 ふり返れば

 すべてが美しい

 ゆっくりと季節が

 身体をすり抜け

 少しずつ 少しずつ

 人生が見えてくる

 さよならと

 ようこその

 くり返し

 この安らいだ旅が

 いつまでも続きますように。

 傷付いた母なる大地に対する、精いっぱいの思いがもしかしたら、詩となって噴き出したのかもしれない。

 この年、私は珠洲市から、観光ポスターの依頼をいただき、この詩を使ってポスターを完成させた。

 

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