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画中日記

能登へ 1 探したい小説中の方言

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 ×某月某日

 前回予告したとおり、今回からは「作家の周辺」編から「能登へ」編に衣替えすることになった。

 私は、奥能登の石川県珠洲市の出身だが、そこを出郷してからすでに四十二年もの歳月が流れていて、そこで直接見知ったことや聞いたことといえばごく限られてくる。したがって、ここは私のことというよりむしろ「能登」に関わりのあった方々の話題も織り込みながら少しずつ進めていきたいと思う。

 二〇〇八年の夏、作家の五木寛之さんが地元テレビ局でディレクターをされているKさんや、M出版社のKさんを伴って、拙宅を訪ねてくださったことがあった。

 その日は、五木さんと仕事の打ち合わせをさせていただいたが、帰り際、「西さん、能登の方言を教えてもらえませんか」と、いわれた。

 どうやらこれからお書きになる金沢を舞台にした小説の中で能登出身の人物に、能登言葉を使わせたいのだとのことだった。

 一口に能登といっても、口能登から中能登、奥能登までかなり広範で、当然言葉も微妙に変化してくる。使われ方次第では、出身地に齟齬(そご)をきたす恐れがある。私は丁寧にお断りをし、代わりに一冊の本をお貸しした。

 それが作家半村良さんが一九八七(昭和六十二)年に出された『能登怪異譚』(集英社)だった。この本はいかにも能登らしい怪異を民話風にして、方言だけで書かれた創作短編小説である。奥能登で少年期を過ごされた半村さんならではの作品集だと思う。

 後日、この本は返却されてきたが、第一話「箪笥(たんす)」の中の「駄目(だちゃかん)がやと」、第二話「蛞蝓(かつゆ)」に出てくる「何(なん)しとるんや。阿呆(あほ)せんとかし」などに付箋がたててあった。もしかしたらこの能登言葉は本当に、文中に使われたかもしれない。いずれ確かめてみたいと思っている。

 

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