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狙いを聞く

ビジネスになる予感 鯖江精機 浅井滋社長

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人工衛星製造に挑戦

 福井県の中小企業が人工衛星の製造に乗り出した。眼鏡枠加工機メーカーとして出発した鯖江精機(越前町)だ。宇宙産業の創出に力を入れる県からの呼び掛けに応じてのスタートだったが、浅井滋社長(62)は「当社の技術が生き、大きなビジネスになる」と手応えを語る。 (長谷川寛之)

 −宇宙産業に参加したきっかけは。

 二〇一五年に福井県から「ふくい宇宙産業創出研究会」への参加オファーがあった。事業が堅調なうちに次の一手を打つべきだと考えた。眼鏡作りの機械メーカーから脱皮して電子部品用の機械作りを始めた経験があった。ロマンを感じたということもあった。

 −宇宙となると、ハードルが高かったのでは。

 まず二人の専属社員を置いた。県主催の「人工衛星設計基礎論」の講義や、東京大の製造実地研修に派遣し、次第に宇宙が身近に感じられるようになった。ビジネスになる予感がしてきた。

 −オファーから約五年たち、現状は。

 研究会では直方体の量産型超小型人工衛星(十センチ×十センチ×三十センチ)のフレームを製造している。超小型人工衛星(六十センチ×六十センチ×八十センチ)の打ち上げを目指す県民衛星プロジェクトの実施主体「県民衛星技術研究組合」では、衛星の環境試験を行い、組み立て工程を担当する。

 −これまでのところ手応えは。

 社員の自信やモチベーション向上につながっている。当社は眼鏡部品など小さな対象物の機械作りが得手で、高精度の部材加工技術が小型衛星製造に生きた。宇宙は失敗が許されない「非修理環境」で、徹底的な機能保持の考えがある。これまでの自社の機械製造設計にそういう発想はなく衝撃的だった。高品質の製品作りに生かしたい。

 −今後の宇宙ビジネスの展望は。

 国は、一五年に決定した宇宙基本計画で「宇宙機器産業の事業規模として十年間で官民合わせて累計五兆円を目指す」としている。民間の商業用ロケット開発はどんどん進むのではないか。自社としては県民衛星をはじめ、数多くの衛星製造に関わりノウハウを蓄積したい。六月に福井市内で「宇宙技術および科学の国際シンポジウム(ISTS)」が開かれる。研究会と技術研究組合の参加企業がブースを出して企業説明パネルを設ける。これを弾みにするつもりだ。

 あさい・しげる 東海工業専門学校機械工学科を卒業後、1981年に入社。工場勤務や設計製図、営業を経験して99年に社長に就任。座右の銘は「人事を尽くして天命を待つ」。趣味はゴルフ。福井県坂井市出身、福井市在住。

 会社メモ 1963(昭和38)年に福井県鯖江市杉本町で地場産業の眼鏡枠加工機のメーカーとして設立。パソコンや携帯電話の普及に伴い90年代から電子部品を中心とした製造装置作りを手掛け、現在は工場の自動化・合理化・高効率化を図る機械を製造販売する。2001年、越前町気比庄に社屋を移転。従業員は19年4月現在で109人。

 

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