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狙いを聞く

究極の現地運営 挑戦 石金精機 清水克洋社長

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ベトナムに初生産拠点

 機械部品製造の石金(いしがね)精機(富山市)が初の海外生産拠点を昨年四月にベトナムに設立した。正社員や技能実習生として本社で数年間働いたベトナム人を中心に新会社「IPT Vietnam(ベトナム)」を発足させた。清水克洋社長は「現地従業員だけで工場を運営する究極の現地化に向けたチャレンジ」と語る。

  (阿部竹虎)

 −なぜベトナムに。

 「海外進出を計画し始めた十年ほど前、当社に数人の中国人技能実習生がいた。日本で覚えた技術を生かして母国で仕事をしてもらう環境をつくるのが当社にとってもプラスになると考えていた。最初は中国が候補だったが、反日デモが激しく断念した。東南アジアへ現地視察を重ね、親日的で、勤勉、素直な人が多い印象のベトナムにした」

 −中国進出を断念した後、どうやって進めたのか。

 「約八年前に二人のベトナム人の技術者を正社員として採用し、機械加工のイロハを教え始めた。彼らがある程度、数値制御(NC)旋盤やマシニングセンタの操作方法を覚えた後、技能実習生四人が加わった。ベトナム人だけの生産チームをつくって『社内分社化』し、技術者が技能実習生を教えながら仕事をする方法を一年続けた。これがうまくいったのでベトナムで『コピー』した形だ。時間を要したが、中小企業が海外進出するための有効な手段といえるのではないか」

 −新会社の状況はどうか。稼働から三年以内に売上高一億円が目標だが。

 「現在は軸受け用の金型をつくり、全量をタイにある不二越の関連会社に送っている。日本国内の当社顧客向けに製品を届けるのが次のステップになるだろう。一番大事なのは、われわれは『兄弟会社』であることだ。世間では兄を超える弟がたくさんいる。ベトナム人技術者たちに『兄を超えるような存在を目指して』と声をかけている。お互いが意識し合い、高められるような関係を築かないといけない」

 −外国人労働者の受け入れ拡大や、技能実習制度のあり方をどう考える。

 「早い段階で外国人を大事な労働力として位置づけた方が日本企業と外国人の双方に幸せな結果となるはず。政府は技能実習制度を『国際貢献』に位置付けているが、実態と大きく離れているのではないか。ベトナム人に日本に来た理由を尋ねると大半が『お金を稼ぎに来た』と答えるだろう」

 「技能実習生は数年で帰国するのが現在の仕組みだが、日本で得た技能を生かせる環境が彼らの母国には少ない。安心して帰国できる環境整備が必要で、日本の経験を生かせる場所を築けたのが新会社の成果でもある」

 しみず・かつひろ 関西大工学部を卒業後、別の会社を経て2002年に石金精機入社。2代目社長だった父の哲氏の死去に伴い、05年から現職。13年から富山市第二機械工業センター協同組合の理事長も務める。趣味はゴルフ、旅行、ワイン収集。座右の銘は「即断即決即行動」。富山市出身。40歳。

会社メモ

 1951年に富山市石金で創業。不二越(当時は不二越鋼材工業)向けに測定器具の製造を始める。55年に同市山室に工場を新設し、工作機械向け部品の生産を開始。78年に現在の同市流杉に移転した。2008年に航空機事業を始め、国産初のジェット旅客機「MRJ」の主翼部品も手がける。18年9月期の売上高は12億5000万円。従業員数は昨年12月で75人。石金精機のシンガポールの関連会社が全額出資して18年4月にIPT Vietnamを設立した。

 

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