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かがやき新世代

金沢犀川温泉 川端の湯宿滝亭常務 谷崎康織さん(33)宿泊客の目線 大切に

「目の前のお客さま一人一人に向き合っていきたい」と語る谷崎康織常務=金沢市の「金沢犀川温泉川端の湯宿滝亭」で

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 宿泊の問い合わせの電話、インターネットからの予約。電話越しの声色や備考欄に書かれた要望、宿泊する人の構成などをじっと聞き、読み込む。毎日、想像力を働かせる。「お客さまに快適に過ごしてもらうには、どんな準備が必要だろうと、さまざまなシミュレーションをするんです」と静かに語る。

 実家は石川県七尾市の和倉温泉にある旅館「のと楽」。宿泊客を出迎え、要望に耳を傾け、笑顔で出発を見送る家族の姿を幼いころから間近で見てきた。

 「宿を切り盛りすることが自分にとっての“普段着”、当たり前のことだったから」。二十三歳で「のと楽」に就職。現在は、姉妹館である金沢市の「金沢犀川温泉 川端の湯宿滝亭」を中心に経営を担当している。

 日々、考えるのは宿泊客にとっていいサービスとは何かということ。「自分たちがよかれと思ってもてなしても、それは主観が入っている」との考えから、顧客目線を大事にする。

 一人でも多くの声を聞けるようにと、客室には明るい色のアンケート用紙を一枚置いている。その一枚一枚を、宿泊客が帰ってから丹念に読み込む。「ここには本当の声がある」

 例えば、小さな子どもを連れた客には昼寝用の布団を用意したり、おむつ入れを設置したり。できることから早急に対処する。そして、アンケートへの返事をしたためる。すべてにというのは難しいが、一日にだいたい五通ほどは書くという。

 「滝亭の谷崎常務からお手紙をいただきました。お守りも。また、絶対に泊まりに行きます」−。先日、ツイッターでこんな投稿を見つけた。「宿泊客からの感謝のひと言が活力になる」。喜びをかみしめる瞬間だ。

 滝亭は個人客が多い一方、系列の「のと楽」はこれまで団体客を多く受け入れてきた。しかし宿泊業界は近年、「団体から個人へ」という流れが強まってきており、変革の時を迎えている。「滝亭で実践してきた取り組みや蓄積したノウハウをのと楽に伝えられるよう、目の前のお客さまにしっかり向き合いたい」。業界の潮流を俯瞰(ふかん)しながら、グループの将来を見据えている。(蓮野亜耶)

【会社メモ】創業約50年の温泉旅館。客室数は27室。2015年の北陸新幹線開業後、金沢の奥座敷として石川県外の宿泊客が増加している。同県七尾市の和倉温泉にあるのと楽グループの一つで、姉妹館に同県加賀市の山代温泉森の栖がある。

 

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