トップ > 北陸中日新聞から > コラム 風紋 > 記事

ここから本文

コラム 風紋

語り部逝く

 戦争の語り部だった。家族とともに旧満州から引き揚げた。逃避行、暴行、飢餓、土饅頭(つちまんじゅう)、水葬…。少年の目に焼きついた悲劇を語るとき、柔和な表情は一変した。

 結核を患い六年かけて高校を卒業した。病床で独学して速記記者となったが、病気が再発して退社、税理士の道を選んだ。

 波瀾万丈(はらんばんじょう)の生涯。晩年は「生き残った者の使命」と、自らの川柳や仲間の短歌、俳句を集めた「満州の記録」を編纂(へんさん)した。

 本紙文芸欄の川柳選者も務めた北村具穎(ともひで)さんが逝去した。享年八十二。「戦後また戦前となる生腥(なまぐさ)さ」。最期に聞いた一句となった。合掌。(編集委員・山本義之)

 

この記事を印刷する

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山
地方選挙

Search | 検索