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北陸文化

女優の個性 作品に厚み 是枝裕和監督 11年ぶりシネモンド(金沢)でトーク

新作「真実」の撮影秘話

 映画「万引き家族」でカンヌ国際映画祭パルムドール受賞の是枝裕和監督が、自身初の国際共同制作(日仏合作)の「真実」(特別編集版)を公開中のシネモンドでトークイベントを開いた。近年はシネコンでの上映作が続き、トークは十一年ぶり。立ち見も出る中、フランスを代表する大女優カトリーヌ・ドヌーブさんらを招いた新作の撮影秘話を存分に語った。二十四日まで上映。(松岡等)

映画「真実」(特別編集版)について語る是枝裕和監督=金沢市香林坊のシネモンドで

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 「真実」は、ドヌーブさんが本人を思わせるフランスの国民的女優を演じた。女優をあきらめて脚本家として活躍するその娘役に米アカデミー賞女優のジュリエット・ビノシュさん。パリを舞台に複雑な母娘関係を描く。ほかにイーサン・ホークさんら国際的なスターが出演。特別編集版は通常版より十分ほど長くして、物語に厚みを加えた。

 舞台用に書きながら日の目を見ていなかった脚本が元。フランスで撮ることになった時、「ドヌーブならできると思った」という。「ヘプバーンやバーグマンと同じ、大文字で書く大女優。『パリの朝は渋滞がひどいから』と午前中は撮影にならない。台本も開いた形跡がない。ただ、台本が変わっていくことには順応して、おもしろがってくれた」

 撮影が三分の一を過ぎた時、「ドヌーブから『途中の編集を見せて。出ていないシーンの芝居の感じを見ておきたい』と言われた。役者には基本渡さないけど、彼女にはさすがにね。それから演技がぶれなくなった。作品の世界観の中で、自分がどう振る舞えばいいかを、的確につかんでいる」「ただのわがままだったら六十年も主役をはれてこない。とにかくチャーミング」

『真実」(特別編集版)の1シーン(2019年、日本・フランス、1時間59分)

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 一方、アカデミー女優のジュリエット・ビノシュさんは対照的。「いろいろなメソッドを学び、自分を役者として高めていくことには貪欲な人。(今回は)自分の母との関係の中に残っている記憶を引っ張り出して役に移植する、内面の旅をしてきた」

 「彼女の場合、三週間前に台本を渡さないといけないらしい」が、常に台本を書き換えて、その日にメモを渡す是枝流は変えなかった。「『やめてくれ』と言われたけどね。彼女もだんだんあきらめて、最後は『分かったわ』と」

 対照的な二人と向き合いながら、自身ならではの繊細な作品に仕上げた是枝監督。「ドヌーブは、常に音が聞こえる音楽的な女優。一方、ビノシュは沈黙が強い、見ているだけで感情が出てくる。ドヌーブは一回OKが出たら、もう二度とやらない。ビノシュは僕がOKといっても『もう一回やらせて』と」と、二人の女優を評した。

 

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