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北陸文化

【雨乃日珈琲店だより ソウル・弘大の街角から】(24)駐車戦争 

文・清水 博之 書・池多亜沙子

当店前の車道は駐車禁止区域にも関わらず、週末には取り締まりが少ないからか車がずらりと駐車している(ただし近年は取り締まりが増えた)=ソウルで

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 めっきり気温の下がった十二月の夜、店の外から怒鳴り声が聞こえてきた。ちらりと様子をうかがうと、当店の建物の大家と見知らぬ青年が、車の駐車位置に関してもめていた。隣に越してきたという青年の車が、こちらの建物の方にせり出しているものだから、大家は車を止められない。しかし青年がはみ出さないように駐車すると、今度は道をふさいでしまう。

 ここ韓国では、駐車に関するトラブルが絶えない。その要因のひとつに、車庫証明がなくても車を購入できるという事情がある(済州島と貨物車は除く)。

 やはり駐車空間を用意しておくのが基本だが、家の前に駐車すれば問題ないと考えるドライバーも少なくないよう(ただし法的には問題がある場合も)。大胆な路駐も多く、二重駐車や接触寸前の際どい駐車も日常茶飯事だ。迷惑な車が止まっている場合、細部を気にしすぎる日本ではありえない光景だが、車のフロントガラス等に必ず掲示してある運転手の携帯番号に電話して車をどけてもらうか(プライバシーが心配)、あるいは邪魔な車を手で押して動かすこととなる(あらかじめサイドブレーキをかけない車も多い)。

口論 警察呼んでお開き

「温帽」(2018年)。あたたかいぼうし。ソウルもこれからが冬の本番。日中でも零下の日が増えてきた

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 さて、話は戻って大家と青年の戦いである。この場合は明らかに青年に非があるのだが、大声をあげて絶対に譲ろうとしない。業を煮やした大家は、店内にいた私を呼び「車の写真を撮ってくれ」と言った。言われた通りにすると、青年が「あんた誰だよ!」と怒りの矛先を私に向けてくるので、「誰ですかねえ」としらばっくれていたところ、興奮した大家が「ここで店をやっている日本人だ!」と言った。ちょっと。余計にもめそうな情報を投入しないでほしいのだが…。

 幸い日本人ネタはふくらむことなく、再び大家と青年の口論が始まったのだが、今度は「通りがかりの住民です」と、初めて見るおじさんが論争に加わり、結局おじさんが警察を呼んでその場はお開きとなった(警察が来る前に青年は逃げた)。

 改めて考えると、何かと激動の日々を送っている。

 (しみず・ひろゆき=ライター、いけだ・あさこ=書家、金沢市出身)

 

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