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北陸文化

【コミュニティシネマ 街中銀幕から】「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」

「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」の1シーン=(c)2019 こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

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 『この世界の片隅に』は、こうの史代の漫画を原作に、片渕須直監督が映画化し、二〇一六年の十一月に公開、瞬く間に異例のロングランの大ヒットとなった傑作アニメーション映画だ。

 戦時下の一九四四(昭和十九)年。広島・呉に嫁いだすずが、夫・周作やその家族に囲まれて暮らす日々に、戦争が影を落としていく。緻密に描き出された広島の風景の中で、人々の生き生きとした姿を丁寧に描いている。

 主人公のすずが魅力的だ。何げない表情や所作の一つ一つが、アニメーションで描かれている登場人物に命を吹き込んでいる。映画の冒頭、主人公のすずが船から降り、荷物を背負い直す様子を映す。僕はそのシーンを見て。ああ、この人は生きていると感じた。

 映画が終わっても、スクリーンの中に世界が広がっていて、人々が暮らし、寝て、起きて、ご飯を食べて、働いて、喜んで、怒って、笑って、泣いて、年をとっていくという人々の営みが続いているように思った。

 片渕監督が金沢へ舞台あいさつに来た時に、実は三十分ほどのシーンが作ってあるのだけれど惜しくもカットしたが、いつかそのシーンを組み込んだもうひとつの『この世界の片隅に』を作りたいと語っていた。

 あれから三年。さらに緻密に繊細に描かれ、二百五十カットを超える新エピソードを加え『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』としてスクリーンに帰ってくる。

 ある日すずが迷い込んだ遊郭で出会ったリンという女性との交流を中心とした追加されたエピソードによって、すでに見た場面がまた新たな意味を持ち、さらに深い感動が胸を包む。前作を鑑賞した方はもちろん、未見の方にも是非スクリーンで見ていただきたい作品だ。そして、スクリーンという窓を通して見える世界の呼吸を感じて欲しい。

 シネモンドでは二十一日から上映が始まる。 (シネモンド支配人・上野克)

 

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