トップ > 北陸中日新聞から > 北陸文化 > 記事一覧 > 12月の記事一覧 > 記事

ここから本文

北陸文化

「描きたいのは人間ドラマ」 城山真一さん(金沢在住)新作「看守の流儀」

刑務所が舞台の自信作

「書きたかったのは人間ドラマ」と語る城山真一さん=金沢市内で

写真

 金沢市在住のミステリ作家・城山真一さんが新著「看守の流儀」(宝島社)を上梓(じょうし)した。刑務所を舞台にした人間ドラマは、警察小説で知られる横山秀夫さんが「久しぶりのドストライク」と帯文を寄せ、自身も「壁を打ち破れた」という自信作だ。(松岡等)

 「他の人が書かないものをと考えていた時、ふっと浮かんだのがどこかで読んだ『刑務所は更生の最後のとりで』という言葉」。ミステリ作家としてデビューして五年目の新作にあえて新たな設定を選んだ。

 金沢市の郊外にある「加賀刑務所」が舞台だ。仮出所した模範囚の失踪、刑務作業場で印刷を請け負った入試問題の漏えい疑惑、受刑者の健康診断記録の不可解な紛失、余命宣告を受けた受刑者と刑の執行停止、出所後再犯をどう防ぐか−。刑務所内外で起きる事件や難題に悩み、奔走する刑務官たちを主人公とした五つの連作で構成される。そしてそれぞれの物語が、敏腕刑務官の秘密という一本の線で結ばれる。

写真

 近年、刑務所を巡って指摘されるさまざまな課題にも触れているが、「描きたかったのはあくまで人間ドラマ」と言い切る。「刑務官同士、刑務官と受刑者、刑務所対世間といった対立軸で成り立っている。そこに面白さがある。登場人物にはそれぞれに抱えてきた思いや価値観があり、それがぶつかるところに、熱い思いがほとばしったり、やるせなさが生まれたりする。だからこそ読者は引き込まれるし、ときに心を揺さぶられる」と。

 「参考文献と取材で得たファクターを自分の中に注入し、想像力で作品をどう構築していくかというのが、小説を書く人間としての腕の見せどころ。書いた十話からえりすぐった五話をどの順番で並べれば読者のカタルシスに通じるかを考えた」と明かす。

 「作家デビューから五年の生存率は二割といわれるが、その壁を乗り越えたというより、壁を打ち壊したという思いがある」という。今回も金沢を中心にした北陸地方が舞台。「自分が石川県を書かない理由がない」と、地元を書き続ける覚悟をにじませた。

 四六判、三百四十ページ。千六百円(税別)。

  ◇     ◇     ◇

 刊行を記念したトークショー「ミステリー小説講座 創作のレシピ」とサイン会が二十一日午後二時から、金沢市香林坊のうつのみや金沢香林坊店である。参加無料。(問)同店076(234)8111

【プロフィール】しろやま・しんいち=1972年、石川県七尾市生まれ、金沢市在住。金沢大法学部卒。「ブラック・ヴィーナス 投資の女神」で第14回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞(のちに宝島社文庫『天才株トレーダー・二礼茜 ブラック・ヴィーナス』)。ほかに「仕掛ける」(宝島社文庫)、「国選ペテン師 千住庸介」(泰文堂)。

 

この記事を印刷する

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山
地方選挙

Search | 検索