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北陸文化

大虐殺は遠くのことか ヴェロニク・タジョさん 小説出版

村田はるせさん(富山市)翻訳

写真

 80万〜100万人が殺されたとされるアフリカ・ルワンダの大虐殺から25年。現地に生きる人々を、アフリカ人の視線で描いたヴェロニク・タジョさんの小説「神(イマーナ)の影 ルワンダの旅−記憶・証言・物語」(エディション・エフ)が出版された=写真。翻訳した富山市のアフリカ文学研究家・村田はるせさんは作品を通し「遠いアフリカの悲惨な出来事として遠ざけがちだが、どこにも起こり得ることとして考えてほしい」と話す。

 虐殺は、多数派の民族的集団のフツの一部が少数派のツチや穏健派を大量虐殺し、ルワンダ社会に深い爪痕を残した。2度にわたる旅を通じて、タジョさんが自身を思わせる語り手の回想のスタイルを取りながら、現地で出会った人々が語る記憶、寓話(ぐうわ)、報道の断片などで構成。虐殺がルワンダの人々や社会に何をもたらし、人々がどう生きようとしているのかを描く。2000年にフランスで出版された。

 タジョさんは1955年パリ生まれ。父はコートジボワール人、母はフランス人で、コートジボワールに育った女性作家。仏ソルボンヌ大でアメリカ黒人文化を専攻後、詩、小説、児童文学を発表する一方、南アフリカの大学などで教壇にも立つ。小説は、ルワンダの悲劇をアフリカ人自身が文学で伝えようと始まった文学プロジェクト「ルワンダ、記憶の義務によって書く」の一環で書かれた。日本語版へのあとがきも新たに寄せた。

 村田さんは、小説の中で取り上げられているフツ至上主義のスローガンがメディアを通して広まって「排除や憎しみを生んだ」と指摘。「日本でのヘイトスピーチが思い起こされ、私たち自身にも同じようなことが起きる可能性があるのではないか」と話した。

 村田さんは、青年海外協力隊でニジェールに派遣された後、東京外国語大地域文化研究科博士後期課程修了。タジョさんの絵本「アヤンダ おおきくなりたくなかった おんなのこ」(風濤社)を翻訳し、西アフリカのフランス語圏の国々の絵本を紹介する活動も行っている。

 四六判、216ページ。2000円(税別)。(松岡等)

 

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